2020年1月20日月曜日

2020年1月20日 日経 朝刊 7 (核心)大波が招く 人づくり競争

原田亮介論説委員長による論説で、「デジタル化とグローバル化の大波があらゆる産業の基盤を掘り起こしつつある。過去と非連続なディスラプション(断絶)を乗り切るには、人材の再教育が欠かせない。」というものである。
各社での取り組みを紹介し、「若手社員にはキャリア形成を重視する傾向が強まっている。終身雇用や年功賃金だけで社員をつなぎ留められると考えるのは時代遅れだろう。社内人材の能力を磨き、成長基盤を固める――。人づくりの大競争こそが日本経済を復活に導く王道になる。」と結んでいる。

示唆に富む内容であるが、「社内人材」に重きを置く点は、「時代遅れ」であろう。「終身雇用や年功賃金」を本気で見直すと、「仕事に見合った人材」が必要になるが、仕事に最適な人材は、社内にいるとは限らず、広く社外にも求める必要があるのではないか。これは例えば、映画製作において、様々な専門家を集めて仕事を行うようなものであり、製作中は専門家としての能力を発揮するが、完成後は解散して個々人の立場に戻るということである。
これからの仕事は、このようなプロジェクト型になると、私は思っている。日本人は器用で、見様見真似で作業を行い、それを改善工夫して立派な製品などを作り出してきたのであるが、そのような仕事の仕方が、専門家中心となる時代に役立つとは思えない。
人材育成についても、団体作業に向くような人間を集め、突出した存在を評価するよりは協調性を評価してきたのが、一括採用・年功賃金・終身雇用というシステムであったと思うが、技術革新の激しい時代には、通用するものではない。
これからの時代の人材育成は、一人で立つ専門性を身に着けるようにすることだと思うが、思考力・想像力を育てるために大学入試に記述式を導入するという程度の発想力しかない文部科学省が牛耳る学校教育には、多くは期待できないだろうと暗たんたる気持ちになってしまう。

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