2020年1月1日水曜日

202011  日経朝刊3面 中西経団連会長 年頭インタビュー 「雇用制度全般の見直しを」

この記事は、経団連の中西宏明会長が年頭インタビューで、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが大事だ」と語った、というものである。
「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金が特徴の日本型雇用は効果を発揮した時期もあった」が、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが重要だ」とするものである。

指摘されていることは、大分前から課題となっているが、改革は進んでいない。「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金」を一言で総括すると、若者の能力発揮を抑制し、中高年齢層の利益を擁護するものと言えよう。だが、その仕組みの中で地位を上り詰めた中西会長の言葉で、改革が進むものなのかどうか、極めて疑わしい。
ダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」と言った。経団連のような高齢者団体が経済を牛耳っている間は、変化は加速しないのではないか。

202011日 日経朝刊2面(社説)次世代に持続可能な国を引き継ごう

この社説は、第1に「企業の変革」として、「年功賃金の見直しや多様な雇用形態の実現」を求めるものである。第2に、「国が責任をもって少子化対策や持続可能な社会保障への転換を推進」として、「高齢者も応能負担必要」とするものである。象徴としては、医療費の現役並み3割負担への引き上げを求めている。第3は、国に「エネルギー・環境政策を一体として立案し、工程表をつくること」を求めている。
そして、「政治の強いリーダーシップ」によって、「持続可能な国づくりの具体策を競う年にしてほしい」と結んでいる。

いずれも、現在の日本の社会構造を変革するものであるが、大きな障害がある。それは、産業界にしろ政界にしろ、長老支配がまかり通っていることである。いずれのリーダーも、世界全体と比べれば、既得権にまみれた高齢者である。ましてや、人口の半分を占め、次世代育成の中核となる女性リーダーの登用は、遅々として進んでいない。
「老人は過去に生き、若者は未来に生きる。」といい、伊庭貞剛は、「事業の進歩発達に最も害をするものは、青年の過失ではなくて、老人の跋扈(ばっこ)である」と喝破した。若者、特に女性に未来を委ねる度量なくして、「持続可能な国」にはならないのではないか。