2020年4月7日火曜日

2020年4月7日 日経夕刊2面 ●(就活のリアル) エントリー先どう増やす 上田晶美
2020年4月7日 日経朝刊14面 ●来春大卒内定、8ポイント上昇 4月34%民間調べ 早期選考影響か

最初の夕刊の記事は、ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表による就活実務編で、「エントリー数を増やすことは必要だと思うのですが、どうやって増やせばいいのかがわかりません」という質問に対して、「私がお勧めしたいのは、今エントリーしている会社のライバル会社にエントリーしてみようというものだ。」というものである。
しごく普通の考え方だが、「こう言うと素直な学生は驚く」というのだから驚く。それは、学生の選択基準が、「大学の説明会に来てくれた中から、いいなと思った会社にエントリーした」ということだからだそうである。
就活でまず大事なのは、どんな仕事をしたいのかを考えることである。例えば、金融機関に興味があるのなら、そこでの仕事がどのようなものなのか、まず業界研究を行う必要がある。その上で、その業界のいくつかの企業にエントリーするわけだから、その時点では、「ライバル企業」もへったくれもない。エントリーシートが通過して初めて、その企業の関係者と接触し、企業風土を知ることになるわけである。
「いいなと思った会社」ということで、仕事内容もチェックしないような就活なら、失礼ながら失敗は目に見えている。なので、「同業他社と比較検討するため」にも、同じ業界の他社にエントリーすべきとの上田氏のアドバイスは正しく、そうすれば業界共通のところは出来ているわけだから、エントリーシートの作成の手間も省けよう。

ところで、次の朝刊の方の記事は、「大手就職情報会社のディスコ(東京・文京)は6日、2021年春に卒業予定の学生の内定率が4月1日時点で34.7%だったと発表した」というものである。「前年同月を8.3ポイント上回った。インターンシップ(就業体験)に参加した学生への早期選考が内定率を押し上げたようだ。」としている。
コロナ・ショックの中、驚きの結果だが、「調査は同社の就職情報サイトに登録する大学生と大学院生を対象に4月1~5日にインターネットで実施。1299人から回答を得た。」ということで、サンプル数は非常に少ない。その発表内容は、次の通りである。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/21gaku_soku04.pdf
「内定を獲得した学生のうち、就職先を決めて就活を終了したのは全体の1割程度」とのことであるが、非常に危険である。現在、コロナ・ショックで、企業の業績や採用姿勢には、不透明な点が多い。「大半は内定を持ちながら就活を継続している」というのは賢明だし、また、大手企業の採用活動が本格化するのはこれからであるから、当然でもある。
本格的な就活はこれからなのだから、学生にとっては、焦ることなく、気を引き締めて活動に臨むことが必要であろう。