2020年1月4日土曜日

202014  日経朝刊15面  年金改革、増える選択肢 受給額、物価ほど増えず

この記事は、「公的年金制度の改正案が1月から始まる予定の通常国会に提出され、成立に向けて動き出す。現役世代は、何が変わり何が変わらないかを知り、今後の生活設計に生かしたい。」という趣旨のものである。改正案の「最重要項目は短時間労働者への厚生年金の適用拡大」で、「受給開始時期の選択肢拡大」も盛り込まれた、としている。また、65歳未満の「在職老齢年金制度」と、「在職定時改定」にも言及している。
さらに、「標準報酬月額」の上限引き上げ(月額65万円)についても触れ、最後に、「賃金・物価の伸びを基にした本来の年金改定率から、現役世代の人数や平均余命の伸びを勘案したスライド調整率が差し引かれる」マクロ経済スライドにより、「2020年以降も年金はさほど増えないことを念頭に、生活設計するのがよいだろう。」と結んでいる。

公的年金制度の改正動向について、要領良くまとめている記事である。そうした改正の経緯については、社会保障審議会年金部会などの資料を参照する必要があるが、公的年金は、負担を担う現役にとっても、給付を受ける受給者にとっても、大きな影響があるから、常にチェックしておく必要があるだろう。
202014  日経朝刊2面 (社説)次代拓く人材を() 産業構造の変化捉えた高等教育に

この社説は、「経済産業省は、AIの技術競争に必要な人材が10年後に数十万人不足すると予測。高等教育機関は、産業構造の変化に応える課題解決型の教育・研究にカジを切る時だ。」とするものである。「大学とは違い、ものづくりの実践的な技術を習得する高等専門学校(高専)」に言及しているが、「高専の多くは地方都市にあり、学生は必ずしも偏差値エリートではない。」とする一方で、「大都市圏の富裕層の子どもほど高学歴で、将来の収入や職業選択で有利な傾向が読み取れる。」としている。、

この「将来の収入や職業選択で有利な傾向」とは何なのか。ここには、「有名大学→有名企業→高収入で安定」という構図が見てとれる。前段で、さんざん大きな変化に言及していたのに、である。
そもそも、文系・理系という区分まかり通っている現状がおかしい。理系の大学で博士号を取得しても、日本の企業は適正に評価していない。大学を牛耳る文部科学省の幹部は、文系出身で、科学の何たるかを理解しているようには思えない。いや、文部科学省のみならず、他の官庁の幹部も文系出身で、政治家にも、理系出身は少ない。
文系か理系かは、数学ができるかどうかで決まり、理系の最優秀層は、収入と地位が高い医者を目指す、そんな時代は、今も終わりを告げたようには思えない。
日本では、スペシャリストとジェネラリストという区分もまかり通ってきた。前者は、「専門バカ」と言われることもあり、企業内で適切に評価されていないのは、博士と同じである。
企業経営でも、スペシャリストが必要となっていることが、日本では十分に理解されているようには思えない。一言でいえば、「プロ」の時代なのであり、そのことを心底感じられなければ、高等教育も変わるまいし、期待しても無駄だろう。