2020年4月24日金曜日

2020年4月24日 朝日朝刊2面 ●(時時刻刻)学生困窮 バイト激減、実家も頼れず

「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、退学に追い込まれかねない学生が各地にいる。親の収入減やアルバイト先の休業などで、学費や生活費が払えない状況になったためだ。国の支援制度では救いきれない仲間のために学生たちが自ら動き出し、独自の支援策を始めた大学や自治体もある。」という記事である。
金沢大3年の男子学生の「生きていけるか不安で眠れない。給付型奨学金を拡充してもらうなどしないと、秋には退学か休学をしなければならなくなる」や、広島市の公立大3年の女子学生の「大学生活をあきらめたくない」と、大学まで往復4時間かかる実家に戻ることを考え始めた、などが紹介され、学生団体「FREE」の新型コロナの影響に関する学生アンケートの結果では、「回答した全国120校の514人のうち、退学を「少し考える」「大いに考える」との回答は計40人で、13人に1人に上った。」という。
追い込まれた学生の支援を始めた大学や、自治体が学生を支援するケースも出てきているはいるようである。

「だが、大半の大学は学費の減免には踏み込んでいない。都内の有名私大も学費の延納や奨学金制度の充実を図る一方、学費については「提供するサービスや中長期にわたる施設設備の整備・維持を包括的に考慮して定めており、履修科目数や授業回数などで定めていない」と説明する。」という状況のようである。学校システム全体を9月入学に移行する案も浮上しているが、そうなると、経営を維持できない大学が少なからず出て来る、との見方もある。
この構造は、居酒屋などの休業の場合と同じであり、休業しても、人件費はかさむ。大学の場合には、教職員の給与を支払う必要があるのである。一方の学生側からすれば、講義が提供されていないのに、という思いも出て来るだろう。
今回の新型コロナの事態が発生するまで、かくも日本の教育におけるIT化が遅れていることに危機感を持っていた教育関係者は少ないのではないか。講義をしないのに学費をとるのは、来店しない顧客から料金を徴収するようなもので、まともな状況ではない。一方、オンライン講義が行き渡れば、学生は物理的な大学の場所に縛られることなく、自由に魅力的な講義を受講することも可能になってくる。新型コロナ後の世界は、学問においても、それ以前とは、大きく異なるものになりそうである。