2020年1月14日火曜日

2020年1月14日 日経夕刊2面 (就活のリアル)人材獲得、企業は長期視点で

こちらは、この就活コラムのもう一人の専門家である雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏によるものである。海老原氏の解説は、欧米の事情も踏まえたもので、労働市場のあるべき姿を展望していて、興味深い。
この回では、「大学生の新卒採用が売り手市場なのは、少子化とは関係のない、好景気による一時的なものだ」という視点からスタートしている。「不況が来れば氷河期は襲来する」というのが、過去の歴史だというのである。
その上で、「中堅・中小企業の経営者に考えてほしいことがある」としているのだが、それは、「不況の時に、思い切って人材を大量確保するのはどうか」ということである。「採用市場全体が縮小する中では、好況期よりも量・質ともに満足のいく人材を獲得できるはずだ。30年来、雇用を見続けてきたが、伸びた企業は必ずこの手法をとっている。」というのである。そして、「経営が苦しくなった企業が従業員の雇用を維持するため休業手当などを国が払う」雇用調整助成金の活用も視野に入れるべきだとする。

私も、1974年の大学卒業以来、自身や後輩の就職活動を見てきたが、日本企業の人事は、まるで進歩がないと思わざるを得ない。好況期に大量の採用をし、不況期には極端に絞り込み。これは、資産運用で言うと、高値の時に買い付けて、安値の時に売り出すようなもので、まったく逆であって、てんで儲かるはずはない。それでも、他社がやるからやる、やらないとトップから何してるんだと言われかねないという企業体質なのである。日本的雇用の限界を口にする経営者は数多いが、その会社の人事政策を見れば、まずトップを変えた方がいいのではないかと思うことが少なくないであろう。