2020年1月20日月曜日

2020年1月20日 日経 朝刊 3面 巨大ITが生む格差 労働分配率の反転みえず

マサチューセッツ工科大のデービッド・オーター教授へのインタビュー記事である。「スーパースター企業」の出現により、収益の取り分が株主や経営者に偏り、労働者に向かいづらくなったというのが、教授の考え方だそうである。
「イノベーション(革新)を起こした一握りの企業が圧倒的なシェアやネットワークを持ち、低コストで優れた商品やサービスを大量に売ることができる。たくさん人を雇ったり、高い賃金を支払ったりする必要性が薄れる一方、株主や経営者は過去の時代とは不釣り合いなほど巨額の利益を得るようになった。」ことが格差を生む一因になっており、「社会全体の労働分配率はさらに下がる」という見方である。
「仕事がなくなってしまうのではないか」という不安に対しては、「社会的に問題なのは仕事が不足することではなく、比較的スキルの低い仕事の割合が増えていることだ」としている。
そして、「すぐに効くような解決策は見いだしづらいが、政府は労働分配率を反転させるための策を十分に検討する必要がある」と結んでいる。

そう目新しい分析や意見があるわけでもないが、現状への危機感は感じられる。問題は、政府が「労働分配率を反転させるための策」を見出せるかどうかだが、巨大企業への税負担を強化するどころか、そうした企業を自国に誘致しようとして各国が法人税引き下げ競争に励んでいる有様では、一国内での対応は難しいものがある。さて、世界は、今後どのような方向に向かっていくのであろうか。

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