2020年4月1日 日経朝刊3面 東レ・ニプロ・富士急 評価損 企業年金の運用成績も悪化
「世界的な株安の影響で、保有株や出資先企業の株価下落で評価損を計上する企業が相次ぐ。東レは31日、17年に出資した香港企業の株価が下落し、187億円の損失を計上すると発表した。企業年金の運用成績も悪化しており、2020年1~3月の運用利回りは四半期ベースで8年半ぶりのマイナス幅となった。」という記事である。
企業年金に絞ると、「ウイリス・タワーズワトソンが30日時点で、約110の企業年金のデータをもとに推計した1~3月の運用利回りはマイナス3.9%となった。マイナスになるのは5四半期ぶり。マイナス幅は11年7~9月(マイナス4.8%)以来の大きさだ。」という。
「退職者への給付額が決まっている企業年金の場合、運用が目標に届かないことが続き、積み立て不足が膨らむと企業側が追加で費用計上する必要がある。」とし、「資産規模が約8000億円と国内有数の企業年金であるNTT企業年金の1~3月の運用利回りもマイナスとなった。」と結んでいる。
株価急落の状況であるから、日本の企業年金の資産運用状況は当然厳しい。過去の確定給付型の企業年金の運用利回り(修正総合利回りが時価ベース)は、次の通りである。
https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/shisanunyo/shisanunyo01.html
2019年度の運用利回りは、2007-8年度のリーマン・ショックの時以来の大幅なマイナスになるであろう。
だが、それでも、中期的に見れば、日本の確定給付企業年金の資産運用は、割合に健闘しているとも言える。今回のコロナ・ショックによる株価の下落は、リーマン・ショックを上回るが、運用資産の構成を見ると、その時よりも国内株式・外国株式の比重を減らしているようだから、安心できるものではないが、今回も持ちこたえられるかもしれない。ただ、本業が不振な中で、企業年金の費用負担も増えることになるので、企業経営者にとっては頭が痛いであろう。
もっと深刻と考えられるのは、個人が運用する確定拠出年金の方である。運用資産の中での預貯金の割合が大きいと批判されてきたが、老後のための資産であってみれば、安全重視とするのは当然で、預貯金の割合が大きいままの加入者にとっては、損失は、さほどではないであろう。問題は、口車に乗って内外株式の投資割合を増やした加入者である。投資に不慣れとされる人々は、株価の下落で、狼狽的に投資割合を引き下げたのではないか。そうすると、損失を確定することになり、株式相場が反転しても、その利益は得られない。確定給付型の企業年金が、リーマン・ショック時に内外株式が大幅に下落したにもかかわらず持ちこたえたのは。基本となる投資資産の割合を変更せず、むしろ株式価格の下落によって株式への投資割合が下がったので買い増しに動いたからと思われるが、そうした冷静な投資行動を、経験の浅い個々人の加入者には望むべくもないであろう。
もっと悲惨なのは、投資商品を選択しなかった場合の「指定運用方法」が、株式の投資信託に設定されている制度の加入者である。確かに、制度の構造として、選択しないこと自体に非があり、その場合に株式投資信託に掛金が振り向けられても、文句を言える筋合いのものではない。しかし。「選択しない」人が、「積極的にリスクを取る」とは、誰も考えないであろう。そもそも、確定拠出年金(企業型)の多くは、退職金から切り替えたものである。企業が支給してくれる退職金を当てにしていたのに、それが確定拠出年金に切り替わり、おまけに選択してリスクを取ったわけではないのに、コロナ・ショックの株式下落で大損した、これで文句を言わない人を見つけるのは難しいだろう。
退職金も、形を変えた確定拠出年金も、法的に義務付けられているわけではないのに、他社の動向を睨みながら、企業が従業員のために設定している制度ではないのか。それが、かえって恨みを買うようになるのは本末転倒だが、その原因を作ったのは、指定運用商品として愚かな選択をした企業自身であり、自業自得というものだろう。
2020年4月1日水曜日
2020年4月1日 朝日朝刊7面 ●1日インターン廃止 新型コロナ対応で採用機会増も要請 大学・経団連
2020年4月1日 日経朝刊5面 ●内定取り消し、就活も混乱 東商主導で中小求人
朝日の記事は、「学生らの就職活動と大学・大学院での教育のあり方を話し合う大学と経団連の協議会が31日、1日だけの就業体験「ワンデーインターンシップ」を認めないことにした。授業のある平日が採用活動に使われているとの批判が強く、就職情報会社の団体も認めないと宣言している。」というものである。
「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」で、「中西宏明経団連会長と大学側の山口宏樹・就職問題懇談会座長(埼玉大学学長)らがテレビ会議を開き、インターンシップのルールを「原則、長期休暇期間を中心にする」と決めた。大学の場合、1~2年生向けは就業体験を通じたキャリア教育だが、3~4年生向けは就職を意識したものとし、企業側がこれらの違いを学生らに説明するよう求めた。」としている。
また、「ほかにも、採用方法や時期を多様化していくことで一致。新卒一括採用を維持しながら専門スキルを持った転職者や未就職者、外国人や留学から帰国した学生らを通年採用する考えだ。」とのことである。中西会長は「ウェブでの採用面接や説明会だけではなく、学生に対し企業としてメッセージを届ける手段を考えていく必要がある」と話した、としている。
日経の記事は、東京商工会議所が、「31日、内定を取り消された今春卒業の学生などに中小企業の求人情報を紹介する掲示板を開設した」ことに加え、「2021年春卒の就活生に対しては経団連がウェブ説明会の拡充など柔軟な対応を会員企業に要請する」としている。
また、「衛藤晟一・一億総活躍相は31日、日商の三村氏や経団連の中西宏明会長と会談し、21年春に卒業する学生を対象にした就活ルールの順守を求めた」とし、「衛藤氏は新型コロナへの対応で「みんなで力を合わせてやっていかないといけない」と求め、中西氏は「学生が心置きなく企業を選択できるような状況をなんとかつくっていきたい」と応えた。」と報じている。
一方、「学習院大学が就職情報会社に対し、2021年卒業予定の学生の採用活動を4月末まで停止するよう要望したことがわかった。現在、企業は集団で実施する説明会などが開けない状態が続いている。」ともしている。
朝日記事の「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」の動向については、すでに次のブログで論評している。
https://kubonenkin.blogspot.com/2020/03/20200321AY06.html
それが、正式に公表されたわけである。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/028.html
一方、日経記事の東京商工会議所による内定取消への対応についても、次のブログで言及している。
https://kubonenkin.blogspot.com/2020/04/20200402AY07.html
政府から日本商工会議所に対する「2021年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」については、次の通りである。この要請は、日本経団連に対しても行われており、会員企業に周知されている。
https://www.jcci.or.jp/20200331yousei.pdf
https://www.keidanren.or.jp/announce/2020/0331.html
来春の就職を目指す学生にとっては、従来の就活とは様変わりの状況となっており、戸惑いは隠せないだろう。しかし、逆に見れば、5月連休明けまでは、じっくりと企業や業界を吟味する時間ができたことになる。今のうちに、候補先となる企業を、ホームページや有価証券報告書などで調査し、エントリーシートの作成を準備しておくのがよいであろう。また、公務員試験の問題集を購入して勉強すれば、試験の準備になるだけでなく、民間企業を志望する場合でも、学力テスト対策の一助となり、一石二鳥であろう。
もう一つ、候補先としてチェックしておいた方がよいと思われるのが、上記の東京商工会議所の「緊急的に新規採用に取り組んでいる企業」である。次のサイトの下部の業種欄にチェックを入れれば、登録企業を把握することができる。
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/saiyo/
これらの企業は、必ずしも優良とは限らない。事業が順調に回転していて人手不足なのであればよいが、従業員が使い捨て同様で人手が足りない場合もあり得るからである。その点では、別の資料などでのチェックも欠かせないが、少なくとも、今春卒業者の内定取消に対して救いの手を差し伸べている点においては、身勝手に内定取消を行った企業とは真逆の存在であることには間違いない。候補に入れておく価値はあるだろう。
2020年4月1日 日経朝刊5面 ●内定取り消し、就活も混乱 東商主導で中小求人
朝日の記事は、「学生らの就職活動と大学・大学院での教育のあり方を話し合う大学と経団連の協議会が31日、1日だけの就業体験「ワンデーインターンシップ」を認めないことにした。授業のある平日が採用活動に使われているとの批判が強く、就職情報会社の団体も認めないと宣言している。」というものである。
「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」で、「中西宏明経団連会長と大学側の山口宏樹・就職問題懇談会座長(埼玉大学学長)らがテレビ会議を開き、インターンシップのルールを「原則、長期休暇期間を中心にする」と決めた。大学の場合、1~2年生向けは就業体験を通じたキャリア教育だが、3~4年生向けは就職を意識したものとし、企業側がこれらの違いを学生らに説明するよう求めた。」としている。
また、「ほかにも、採用方法や時期を多様化していくことで一致。新卒一括採用を維持しながら専門スキルを持った転職者や未就職者、外国人や留学から帰国した学生らを通年採用する考えだ。」とのことである。中西会長は「ウェブでの採用面接や説明会だけではなく、学生に対し企業としてメッセージを届ける手段を考えていく必要がある」と話した、としている。
日経の記事は、東京商工会議所が、「31日、内定を取り消された今春卒業の学生などに中小企業の求人情報を紹介する掲示板を開設した」ことに加え、「2021年春卒の就活生に対しては経団連がウェブ説明会の拡充など柔軟な対応を会員企業に要請する」としている。
また、「衛藤晟一・一億総活躍相は31日、日商の三村氏や経団連の中西宏明会長と会談し、21年春に卒業する学生を対象にした就活ルールの順守を求めた」とし、「衛藤氏は新型コロナへの対応で「みんなで力を合わせてやっていかないといけない」と求め、中西氏は「学生が心置きなく企業を選択できるような状況をなんとかつくっていきたい」と応えた。」と報じている。
一方、「学習院大学が就職情報会社に対し、2021年卒業予定の学生の採用活動を4月末まで停止するよう要望したことがわかった。現在、企業は集団で実施する説明会などが開けない状態が続いている。」ともしている。
朝日記事の「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」の動向については、すでに次のブログで論評している。
https://kubonenkin.blogspot.com/2020/03/20200321AY06.html
それが、正式に公表されたわけである。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/028.html
一方、日経記事の東京商工会議所による内定取消への対応についても、次のブログで言及している。
https://kubonenkin.blogspot.com/2020/04/20200402AY07.html
政府から日本商工会議所に対する「2021年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」については、次の通りである。この要請は、日本経団連に対しても行われており、会員企業に周知されている。
https://www.jcci.or.jp/20200331yousei.pdf
https://www.keidanren.or.jp/announce/2020/0331.html
来春の就職を目指す学生にとっては、従来の就活とは様変わりの状況となっており、戸惑いは隠せないだろう。しかし、逆に見れば、5月連休明けまでは、じっくりと企業や業界を吟味する時間ができたことになる。今のうちに、候補先となる企業を、ホームページや有価証券報告書などで調査し、エントリーシートの作成を準備しておくのがよいであろう。また、公務員試験の問題集を購入して勉強すれば、試験の準備になるだけでなく、民間企業を志望する場合でも、学力テスト対策の一助となり、一石二鳥であろう。
もう一つ、候補先としてチェックしておいた方がよいと思われるのが、上記の東京商工会議所の「緊急的に新規採用に取り組んでいる企業」である。次のサイトの下部の業種欄にチェックを入れれば、登録企業を把握することができる。
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/saiyo/
これらの企業は、必ずしも優良とは限らない。事業が順調に回転していて人手不足なのであればよいが、従業員が使い捨て同様で人手が足りない場合もあり得るからである。その点では、別の資料などでのチェックも欠かせないが、少なくとも、今春卒業者の内定取消に対して救いの手を差し伸べている点においては、身勝手に内定取消を行った企業とは真逆の存在であることには間違いない。候補に入れておく価値はあるだろう。
2020年3月27日金曜日
2020年3月27日 日経朝刊16面 ●新型コロナで「内定取り消し」 4要件満たなければ無効
「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月入社予定の新卒学生らの待遇が不安定になっている。入社予定の会社に内定を取り消されたり、当面の自宅待機を指示されたりした場合、法的にはどう理解し、どう対応すればいいのだろうか。」という記事である。
まず、「厚生労働省によると、3月25日時点で新型コロナの影響で学生の内定を取り消した会社は20社、計30人が確認された」とし、「様々な会社で内定取り消しが発生する可能性がある」と続けた上で、「内定は、法的には企業と入社予定者の間に労働契約が交わされた状態を指す」ので「労働契約法が定める「解雇権の乱用」の規定が適用されるため、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効」としている。
そこで、「確認しておきたいのは、整理・解雇の要件」とし、「企業が深刻な経営悪化などを理由として内定を取り消すことは整理解雇として認められる。ただし(1)人員整理の必要性がある(2)解雇回避のために最大限の努力をした(3)解雇対象者の選定が合理的(4)手続きが妥当――の4つの条件をすべて満たすことが必要」と解説している。
したがって、「内定を取り消すのは非常にハードルが高く、業績見通しが厳しいといった程度では認められない。労働問題に詳しい嶋崎量弁護士によると、内定取り消しが有効になるのは倒産が不可避だったり、倒産を避けるため整理解雇が欠かせなかったりする場合に限られる。」と述べている。
その上で、「内定取り消しより可能性が高い」のは、「企業が内定者に4月以降に自宅待機を命じたり、入社辞退を強要したりすることだ」としているが、「企業側の責任で社員を休業させた場合は、労働基準法に基づき社員に平均賃金の60%の休業手当を払わねばならない。」ことになる。
記事では、嶋崎弁護士の「立場の弱い学生などは、企業側の働きかけに応じてしまうケースも考えられるが、応じる必要はない。会社側が事実上、一方的に内定を取り消す権利はないので、簡単に応じてはいけない」との指摘で結んでいる。
この記事で理解しておかなければならないのは、就活で内定段階まで到った場合、学生であっても、労働者として保護されるという点である。こうした保護は、実は、アルバイトの場合にも適用されるものが多い。就活をするのなら、次の『知って役立つ労働法』などを参照して、最低限の知識は、身に着けておいた方がいいだろう。
https://www.mhlw.go.jp/content/000507287.pdf
一方、厚生労働省は、内定取消が重大な事態であるので、有期契約労働者、パートタイム労働者及び派遣労働者の雇用維持等に対する配慮と併せて、経済団体等に要望を行っている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10497.html
やっと内定に到ったのに、それを取り消されるのではたまったものではないだろうが、新たな道へ進むにしても、労働者としての自覚や意識を持つことは大切であり、そのことは、無事に入社できた場合であっても同じである。
なお、下記のNHKの番組「入社式直前 一転の内定取消も… 新型コロナウイルス」では、実際に内定取消にあった学生の生々しい状況が報じられている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200331/k10012358941000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200331/k10012360101000.html
「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月入社予定の新卒学生らの待遇が不安定になっている。入社予定の会社に内定を取り消されたり、当面の自宅待機を指示されたりした場合、法的にはどう理解し、どう対応すればいいのだろうか。」という記事である。
まず、「厚生労働省によると、3月25日時点で新型コロナの影響で学生の内定を取り消した会社は20社、計30人が確認された」とし、「様々な会社で内定取り消しが発生する可能性がある」と続けた上で、「内定は、法的には企業と入社予定者の間に労働契約が交わされた状態を指す」ので「労働契約法が定める「解雇権の乱用」の規定が適用されるため、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効」としている。
そこで、「確認しておきたいのは、整理・解雇の要件」とし、「企業が深刻な経営悪化などを理由として内定を取り消すことは整理解雇として認められる。ただし(1)人員整理の必要性がある(2)解雇回避のために最大限の努力をした(3)解雇対象者の選定が合理的(4)手続きが妥当――の4つの条件をすべて満たすことが必要」と解説している。
したがって、「内定を取り消すのは非常にハードルが高く、業績見通しが厳しいといった程度では認められない。労働問題に詳しい嶋崎量弁護士によると、内定取り消しが有効になるのは倒産が不可避だったり、倒産を避けるため整理解雇が欠かせなかったりする場合に限られる。」と述べている。
その上で、「内定取り消しより可能性が高い」のは、「企業が内定者に4月以降に自宅待機を命じたり、入社辞退を強要したりすることだ」としているが、「企業側の責任で社員を休業させた場合は、労働基準法に基づき社員に平均賃金の60%の休業手当を払わねばならない。」ことになる。
記事では、嶋崎弁護士の「立場の弱い学生などは、企業側の働きかけに応じてしまうケースも考えられるが、応じる必要はない。会社側が事実上、一方的に内定を取り消す権利はないので、簡単に応じてはいけない」との指摘で結んでいる。
この記事で理解しておかなければならないのは、就活で内定段階まで到った場合、学生であっても、労働者として保護されるという点である。こうした保護は、実は、アルバイトの場合にも適用されるものが多い。就活をするのなら、次の『知って役立つ労働法』などを参照して、最低限の知識は、身に着けておいた方がいいだろう。
https://www.mhlw.go.jp/content/000507287.pdf
一方、厚生労働省は、内定取消が重大な事態であるので、有期契約労働者、パートタイム労働者及び派遣労働者の雇用維持等に対する配慮と併せて、経済団体等に要望を行っている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10497.html
やっと内定に到ったのに、それを取り消されるのではたまったものではないだろうが、新たな道へ進むにしても、労働者としての自覚や意識を持つことは大切であり、そのことは、無事に入社できた場合であっても同じである。
なお、下記のNHKの番組「入社式直前 一転の内定取消も… 新型コロナウイルス」では、実際に内定取消にあった学生の生々しい状況が報じられている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200331/k10012358941000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200331/k10012360101000.html
2020年3月25日水曜日
2020年3月25日 日経朝刊2面 GPIF、外債比率10ポイント引き上げへ 高利回り投資シフト、円安要因の可能性
2020年4月1日 朝日朝刊4面 年金運用、外債シフト 新年度から 国債利回り見込めず
2020年4月1日 日経朝刊7面 GPIF、海外運用に傾斜 資産構成改定、外債比率25%に 為替リスク高まる
最初の記事は、スクープ的な速報で、「公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は資産構成の見直しで、外国債券の比率を10ポイント引き上げて25%とする方針だ。…25%ずつとしている国内外の株式は現状を維持する。」というものである。「見直しは5年半ぶり。30日に開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門部会に諮り、31日に発表する。」としている。
記事で注目しているのは、「外債と外国株を合わせた外国資産の割合は50%に達し、為替の変動が運用に与える影響は拡大する。」という点で、「地方公務員共済組合連合会と国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の3共済もGPIFと歩調を合わせる見通しで、計約190兆円(19年3月末時点)に上る運用資産の一部が外債投資に向かえば為替相場の円安要因となる。」としている。
2番目の記事は、上記の記事内容の3月31日の正式発表を受けたものである。過去からの経緯として、「以前はリスクの低い国内債券が大半だったが、14年の見直しで国内外の株の割合を計5割に倍増させた。短期的に資産価値が変動するリスクも高まっているため、今回は株は増やさない判断をした。一方、国債など国内債券に比べて利回りが見込める外国債券を増やすことにしたという。」とし、SMBC日興証券の末沢豪謙アナリストの「米国債などの金利はプラス圏で推移しているための判断だろう。ただ、外国債券は為替リスクもあり、信用力の低い外国債はデフォルト(債務不履行)のリスクもあることに注意が必要」との指摘を紹介している。
そして、政府は「市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきではない」(加藤勝信厚労相)との立場だが、中長期的に運用がうまくいかないと将来の年金水準に響く可能性もある、と記事は結んでいる。
■公的年金の運用資産構成(現在→変更後)
国内株25%→25% 外国株25%→25% 国内債券35%→25%↓ 外国債券15%→25%↑
最後の記事も、朝日記事と同様の内容であるが、「日本国債の投資収益が低迷する中、利回りの高い資産の比率を高める狙いだが、為替変動による短期的な資産変動は大きくなり、海外リスクが高まる。」点に着目している。「実際の運用構成が基本ポートフォリオからずれる許容幅も改める。外国債は目標値から6%、外国株は7%までの乖離(かいり)を認めることとした。これにより、最大で国民の年金積立金の63%が海外の資産で運用される可能性がある。」としている。
その上で、GPIFの高橋則広理事長の「国債は安全な資産ではあるが、金利がマイナスであるものに投資していいのか、ずっと組織の中でも悩んでいた」「海外の方が利回りや物価の上昇率が高いという格差が埋められない中で、利回りを海外に求める結果として外債が増えた」「仮に1%でも10年で約10%になる。100円で購入しても、90円までは問題がない」という発言を引いている。
GPIFの運用資産構成の変更については、2020年3月30日の社会保障審議会資金運用部会に資料が掲載されており、厚生労働大臣からの諮問が、社会保障審議会で了承されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10574.html
やはり気になるのは、上記記事にあるような海外投資の割合の大きさと、前回変更されたままの株式投資の割合の大きさである。どちらも、投資収益を大きく変動させるものである。今回のコロナ・ショックによる内外株式の急落で、株式比率の大きい公的年金の資産運用は、民間の企業年金を上回る打撃を受けることになる。資産運用では、短期的に一喜一憂すべきではないが、リスクの大きさが許容できる範囲のものであるのかどうかは、不断の検証やチェックが必要であろう。株頼み、海外頼みが、日本の年金受給者のための資産の運用として適切なのか、疑問が残る。
2020年4月1日 朝日朝刊4面 年金運用、外債シフト 新年度から 国債利回り見込めず
2020年4月1日 日経朝刊7面 GPIF、海外運用に傾斜 資産構成改定、外債比率25%に 為替リスク高まる
最初の記事は、スクープ的な速報で、「公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は資産構成の見直しで、外国債券の比率を10ポイント引き上げて25%とする方針だ。…25%ずつとしている国内外の株式は現状を維持する。」というものである。「見直しは5年半ぶり。30日に開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門部会に諮り、31日に発表する。」としている。
記事で注目しているのは、「外債と外国株を合わせた外国資産の割合は50%に達し、為替の変動が運用に与える影響は拡大する。」という点で、「地方公務員共済組合連合会と国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の3共済もGPIFと歩調を合わせる見通しで、計約190兆円(19年3月末時点)に上る運用資産の一部が外債投資に向かえば為替相場の円安要因となる。」としている。
2番目の記事は、上記の記事内容の3月31日の正式発表を受けたものである。過去からの経緯として、「以前はリスクの低い国内債券が大半だったが、14年の見直しで国内外の株の割合を計5割に倍増させた。短期的に資産価値が変動するリスクも高まっているため、今回は株は増やさない判断をした。一方、国債など国内債券に比べて利回りが見込める外国債券を増やすことにしたという。」とし、SMBC日興証券の末沢豪謙アナリストの「米国債などの金利はプラス圏で推移しているための判断だろう。ただ、外国債券は為替リスクもあり、信用力の低い外国債はデフォルト(債務不履行)のリスクもあることに注意が必要」との指摘を紹介している。
そして、政府は「市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきではない」(加藤勝信厚労相)との立場だが、中長期的に運用がうまくいかないと将来の年金水準に響く可能性もある、と記事は結んでいる。
■公的年金の運用資産構成(現在→変更後)
国内株25%→25% 外国株25%→25% 国内債券35%→25%↓ 外国債券15%→25%↑
最後の記事も、朝日記事と同様の内容であるが、「日本国債の投資収益が低迷する中、利回りの高い資産の比率を高める狙いだが、為替変動による短期的な資産変動は大きくなり、海外リスクが高まる。」点に着目している。「実際の運用構成が基本ポートフォリオからずれる許容幅も改める。外国債は目標値から6%、外国株は7%までの乖離(かいり)を認めることとした。これにより、最大で国民の年金積立金の63%が海外の資産で運用される可能性がある。」としている。
その上で、GPIFの高橋則広理事長の「国債は安全な資産ではあるが、金利がマイナスであるものに投資していいのか、ずっと組織の中でも悩んでいた」「海外の方が利回りや物価の上昇率が高いという格差が埋められない中で、利回りを海外に求める結果として外債が増えた」「仮に1%でも10年で約10%になる。100円で購入しても、90円までは問題がない」という発言を引いている。
GPIFの運用資産構成の変更については、2020年3月30日の社会保障審議会資金運用部会に資料が掲載されており、厚生労働大臣からの諮問が、社会保障審議会で了承されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10574.html
やはり気になるのは、上記記事にあるような海外投資の割合の大きさと、前回変更されたままの株式投資の割合の大きさである。どちらも、投資収益を大きく変動させるものである。今回のコロナ・ショックによる内外株式の急落で、株式比率の大きい公的年金の資産運用は、民間の企業年金を上回る打撃を受けることになる。資産運用では、短期的に一喜一憂すべきではないが、リスクの大きさが許容できる範囲のものであるのかどうかは、不断の検証やチェックが必要であろう。株頼み、海外頼みが、日本の年金受給者のための資産の運用として適切なのか、疑問が残る。
2020年3月25日 日経 夕刊2面 「年金食堂」無料で月4万食 ロシア
「ロシアで年金受給者に無料で昼食を提供する「年金食堂」が広がり始めた。小さなカフェの取り組みが注目されて支援を集め、3都市で毎月4万食を提供する。背景には貧富の差が縮まらず、多くの高齢者が困窮するロシアの現状がある。」という記事である。
「きっかけはサンクトペテルブルクのカフェだった。17年11月、店主のアレクサンドラ・シニャクさんが高齢男性から代金を受け取るのをためらって無料で食事を振る舞った。本格的に年金受給者に無料で昼食を提供し始めると利用者が増加。借金も膨らみ、家も抵当に入れたが、動画サイトで取り組みが紹介されたことで、食材の提供や寄付、ボランティアが集まり始めた。」としている。
「背景には高齢者の深刻な貧困がある。連邦統計局によると、19年の年金受給者約4600万人の平均受給額は月約1万4000ルーブル(約2万3000円)。政府が定める必要最低限の生活費(約1万1000ルーブル)をやや上回る水準にとどまる。18年には受給開始年齢を段階的に引き上げる年金改革の実施が決まり、全国的な抗議運動に発展した。」としている。
これに対し、「政権も年金改革で低下した支持を取り戻したい考えだ。プーチン大統領が提案した改憲案では「物価に応じて年金支給額を少なくとも年に1回見直す」と明記した。4月22日に予定する改憲の是非を問う全国投票で賛成票を集める狙いもある。独立系調査機関レバダセンターによる世論調査では改憲で支持する点として、「年金の定期的な見直し」が最多の92%を占めた。」という。
その上で、「ただ改憲が生活改善につながるとの期待は薄い。サンクトペテルブルクで月約2万ルーブルの年金で暮らす男性(84)は「大統領が居座るための改憲に希望はない。ソ連時代の方が福祉が充実して安定していた」。貧困層は人口の約13%と高止まりしている。社会主義のソ連に郷愁を抱く国民も増え、レバダセンターの18年末の調査では「ソ連崩壊を残念に思う」との回答が05年以降で最多の66%に達した。」とのことである。
記事では、補足として、「プーチン政権の年金改革」について、「ロシアで2019年から始まった年金の受給開始年齢を男女ともに段階的に5歳ずつ引き上げることを柱とする改革。受給開始年齢は23年までに男性が65歳、女性が60歳になる。プーチン大統領が18年に年金改革法案に署名して成立した。」とし、「財政負担の軽減や労働人口の確保が狙いとされる。発表後にプーチン氏の支持率が約8割から6割台に急落し、抗議運動が広がった。プーチン氏は女性の受給開始年齢の引き上げを当初案の63歳から60歳に見直す譲歩策を示し、理解を求めた。」と記している。
どの国でも、国民は高齢化しており、年金制度の改革が必要であるが、その実行は難しい。そのことが、独裁プーチンのロシアでも例外ではないことを知らしめる記事である。
ロシアの年金制度の概要については、少し古いが、次の「年金シニアプラン総合研究機構」の調査報告を参照されたい。
ロシアの年金改革の柱は、年金支給開始年齢の引き上げだが、60歳を65歳に延長するのは、日本人からすると当然に思えるであろう。それでも反発が強いのは、年金額の水準が低いことに加えて、ロシア人の平均寿命が、今後は高齢化すると想定されているが、現時点では短く(下記のWHO資料86ページでは、2018年の男子で66.4歳)、年金受給期間が僅かな期間になるという点があるようである。
このロシアの状況を、日本とは無縁のものと考えてよいのであろうか。私には、とても、そう思えない。2019年財政検証の結果によれば、基本ケースと考えられるケースⅢ(人口中位)において、基礎年金(1人分)の所得代替率は、2047年度以降は13.2%に下落する。正社員として上乗せの厚生年金を十分にもらえればともかく、非正規労働を長く続けざるを得なかった就職氷河期時代の人々などは、現役世代の1割ちょっとの年金で、高騰していく医療・介護の保険料も賄わなければいけなくなるのである。
対策を考えるのは容易ではないが、少なくとも、長く働く(働ける)ことを基軸とし、国民が分断ではなく連帯して立ち向かわなければならない課題であることは、間違いない。
2020年3月24日火曜日
2020年3月24日 日経朝刊33面 ●(私見卓見)新入社員の評価の意識転換を
この記事の論評については、下記の「年金時事通信」の20-005号として登載しています。
http://www.ne.jp/asahi/kubonenkin/company/tusin201405.htm
この記事の論評については、下記の「年金時事通信」の20-005号として登載しています。
http://www.ne.jp/asahi/kubonenkin/company/tusin201405.htm
2020年3月24日 日経夕刊2面 ●(就活のリアル)エントリー社数の目安 コロナ影響考慮し多めに
ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表による就活実務編である。「何社ぐらいエントリーすればいいものでしょうか?」との学生からの質問に対し、「学生が会社にエントリーする数はここ3年間毎年減り続けている。マイナビの調査によれば、2017年卒の3月の平均エントリー数は30.6社、18年卒は27.9社、19年卒は20.7社となっている。売り手市場による影響が大きいと思われるが、インターンシップで事前選考が進んでいることなど、選考手法の多様化も考えられる。」としている。
その上で、新型コロナウイルスの影響を受けている今年について、「エントリーは少なすぎても多すぎても納得内定に結びつかない危険性があるため、ある程度の目安は持っておいた方がいいと思う。」とし、その理由は、「そこから現実的な企業研究が始まるという側面があるからだ。」としている。
そして、「エントリーして説明会に行き、エントリーシートを提出し、筆記試験に受かれば面接に行けるというのが通常の就職試験のパターンになる。その面接も大手企業の場合は3回はある。それらの合否はもちろん会社側から出されるのだが、実は面接が進む過程で学生の方からも検討していくのである。」としている。
続けて、「自分のビジョンに合っている会社かどうか、働きやすい職場なのかどうか、実際に面接のために会社を訪問して、人や会社を見ながら、次の選考に進むかどうか、相性を見きわめていくものなのだ。受けているエントリー数が少なすぎると、その検討過程に入れる会社が少なくなってしまい、ミスマッチが起きてしまう危険性がある。」としつつも「手当たり次第、気になる会社にたくさんエントリーすればいいかというと、それはそれで弊害がある。広げすぎると企業研究が十分できずに内容の薄いエントリーシートになってしまう。通過できず、結局面接に行ける会社は一握りになってしまいかねない。」としている。
最後に、「エントリー数の目安としては今年も20社程度か」としつつ、「新型コロナの影響があり、ウェブでの説明会や面接が増えていることを鑑みると、少し多めにエントリーする方がいいように思う。」と結んでいる。
言っていることは間違いないと思うが、平時の対応という気がする。今や、コロナショックで、就活は非常時のものとなった。「2017年卒の3月の平均エントリー数は30.6社」はおろか、はっきり言って、手当たり次第くらいのエントリーが必要であろう。
もちろん、「広げすぎると企業研究が十分できずに内容の薄いエントリーシート」になる懸念はある。しかし、今年については、「入りたい会社」の前に、「入れそうな会社」を確保することが、最も重要になる。それくらいに、就活をめぐる状況は激変する。
そもそも、エントリーシートには、何を書くのか。次のリクナビの資料を見てみよう。
https://job.rikunabi.com/contents/entrysheet/4570/
この中で、企業によって異なるのは、「志望動機」のみである。後は、企業によって様式が異なる場合はあるだろうが、基本的に同じで構わない。はっきり言って、20社に絞ろうと、50社にしようと、大して手間はかからないのである。
そもそも、その志望動機にしたところで、ほとんどの学生が自社の事など知らないのは、企業にだって分かっている。だから、付け焼刃のもので構わない、ただ一つ重要なのは、学生が自社の事を何も調べずに応募しているのかどうかである。したがって、最低限、その会社のHPとかに目を通し、自分なりに関心を持った仕事の事を加えた方がよい。
もっとも、大会社の場合、何を書いても大学名などで選別してしまうことはあり得る。だから、エントリーシートが通過したかどうかに、過度に重きを置く必要はない。縁がなかったものと考えて、割り切ればよい。とにかく、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」「犬も歩けば棒に当たる(良い意味の方)」なのであるから、玉は、沢山打った方がいいのである。
ただし、一つだけ留意点がある。自分が、応募した会社に出した書類や、その結果は、きちんとファイルして残しておくべきである。その会社のHPの概要も綴じておくとよい。また、面接などに進んだ場合には、その日時、場所、相手方、内容など、いわゆる5W1Hの区分にそって簡記したものを残しておく方がよい。数が多いと、きちんと記録に残しておかないと混乱するからである。
また、内定に向かって順調に進んでいると思える場合であっても、常に、他の候補先や応募可能先はないか、気を配るべきである。うまく進んでいるのに、相手に悪いとか思う必要はない。他にも検討しているか聞かれた場合でも、「御社に絞っています」くらいのことは言って構わない。逆に、学生が企業に他の学生の採用も検討していますかと聞いた場合、「君だけです」というのは明白なウソであり、そうでなければ採用担当は務まらない。もし、それでも気になる(就活に失敗する可能性大だがの)場合には、公務員試験にはチャレンジしていますと言えばいいだろう。
最後に、もう一度言う。エントリーは、可能な限り多くすべきである。ただし、応募先は、きちんと自分で管理すること。後になって焦って数を増やすと、次のリーマンショックの時のような事態に、なりかねない。
https://news.careerconnection.jp/?p=86782
ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表による就活実務編である。「何社ぐらいエントリーすればいいものでしょうか?」との学生からの質問に対し、「学生が会社にエントリーする数はここ3年間毎年減り続けている。マイナビの調査によれば、2017年卒の3月の平均エントリー数は30.6社、18年卒は27.9社、19年卒は20.7社となっている。売り手市場による影響が大きいと思われるが、インターンシップで事前選考が進んでいることなど、選考手法の多様化も考えられる。」としている。
その上で、新型コロナウイルスの影響を受けている今年について、「エントリーは少なすぎても多すぎても納得内定に結びつかない危険性があるため、ある程度の目安は持っておいた方がいいと思う。」とし、その理由は、「そこから現実的な企業研究が始まるという側面があるからだ。」としている。
そして、「エントリーして説明会に行き、エントリーシートを提出し、筆記試験に受かれば面接に行けるというのが通常の就職試験のパターンになる。その面接も大手企業の場合は3回はある。それらの合否はもちろん会社側から出されるのだが、実は面接が進む過程で学生の方からも検討していくのである。」としている。
続けて、「自分のビジョンに合っている会社かどうか、働きやすい職場なのかどうか、実際に面接のために会社を訪問して、人や会社を見ながら、次の選考に進むかどうか、相性を見きわめていくものなのだ。受けているエントリー数が少なすぎると、その検討過程に入れる会社が少なくなってしまい、ミスマッチが起きてしまう危険性がある。」としつつも「手当たり次第、気になる会社にたくさんエントリーすればいいかというと、それはそれで弊害がある。広げすぎると企業研究が十分できずに内容の薄いエントリーシートになってしまう。通過できず、結局面接に行ける会社は一握りになってしまいかねない。」としている。
最後に、「エントリー数の目安としては今年も20社程度か」としつつ、「新型コロナの影響があり、ウェブでの説明会や面接が増えていることを鑑みると、少し多めにエントリーする方がいいように思う。」と結んでいる。
言っていることは間違いないと思うが、平時の対応という気がする。今や、コロナショックで、就活は非常時のものとなった。「2017年卒の3月の平均エントリー数は30.6社」はおろか、はっきり言って、手当たり次第くらいのエントリーが必要であろう。
もちろん、「広げすぎると企業研究が十分できずに内容の薄いエントリーシート」になる懸念はある。しかし、今年については、「入りたい会社」の前に、「入れそうな会社」を確保することが、最も重要になる。それくらいに、就活をめぐる状況は激変する。
そもそも、エントリーシートには、何を書くのか。次のリクナビの資料を見てみよう。
https://job.rikunabi.com/contents/entrysheet/4570/
この中で、企業によって異なるのは、「志望動機」のみである。後は、企業によって様式が異なる場合はあるだろうが、基本的に同じで構わない。はっきり言って、20社に絞ろうと、50社にしようと、大して手間はかからないのである。
そもそも、その志望動機にしたところで、ほとんどの学生が自社の事など知らないのは、企業にだって分かっている。だから、付け焼刃のもので構わない、ただ一つ重要なのは、学生が自社の事を何も調べずに応募しているのかどうかである。したがって、最低限、その会社のHPとかに目を通し、自分なりに関心を持った仕事の事を加えた方がよい。
もっとも、大会社の場合、何を書いても大学名などで選別してしまうことはあり得る。だから、エントリーシートが通過したかどうかに、過度に重きを置く必要はない。縁がなかったものと考えて、割り切ればよい。とにかく、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」「犬も歩けば棒に当たる(良い意味の方)」なのであるから、玉は、沢山打った方がいいのである。
ただし、一つだけ留意点がある。自分が、応募した会社に出した書類や、その結果は、きちんとファイルして残しておくべきである。その会社のHPの概要も綴じておくとよい。また、面接などに進んだ場合には、その日時、場所、相手方、内容など、いわゆる5W1Hの区分にそって簡記したものを残しておく方がよい。数が多いと、きちんと記録に残しておかないと混乱するからである。
また、内定に向かって順調に進んでいると思える場合であっても、常に、他の候補先や応募可能先はないか、気を配るべきである。うまく進んでいるのに、相手に悪いとか思う必要はない。他にも検討しているか聞かれた場合でも、「御社に絞っています」くらいのことは言って構わない。逆に、学生が企業に他の学生の採用も検討していますかと聞いた場合、「君だけです」というのは明白なウソであり、そうでなければ採用担当は務まらない。もし、それでも気になる(就活に失敗する可能性大だがの)場合には、公務員試験にはチャレンジしていますと言えばいいだろう。
最後に、もう一度言う。エントリーは、可能な限り多くすべきである。ただし、応募先は、きちんと自分で管理すること。後になって焦って数を増やすと、次のリーマンショックの時のような事態に、なりかねない。
https://news.careerconnection.jp/?p=86782
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