2020年3月21日土曜日

2020年3月21日 朝日夕刊6面 ●就活サイトと大学「平日インターンNO」 「学業に悪影響」、情報掲載せず

「授業がある時期の平日に実施するインターンシップは認めない――。就職情報サイトを運営するリクルートキャリアやマイナビなどで作る団体と、国公私立の大学などの団体が19日、共同声明を発表した。就職活動をめぐり立場が異なることが多い就職情報会社と大学が共同声明を出すのは初めて。今月末に開かれる経団連と大学などで作る協議会もこの声明を支持する見通しだ。」との書き出しの記事である。
続けて、「声明は、多くが大学3年生から参加するインターンシップが、実質的に採用選考プロセスとなっていることや、授業がある時期の平日に実施するものがあるとして、学生の学業に悪影響が出ていると指摘。長期休暇中や休日に実施するインターンシップしか認めないと宣言した。1日で行う単なる会社説明会を言い換えて使う企業が多いとされる「ワンデーインターンシップ」という表記を、就職情報サイトで使わないことを宣言した。」という。
そして、「情報サイト側のマイナビの浜田憲尚専務は「今後は企業が授業に支障を及ぼすような平日に実施するインターンシップの情報は、各社のサイトに掲載しない」。私立大の団体で就職問題を担当する明治大の土屋恵一郎学長は「これまで大学と就職業者の関係は良くなかったが、現状を改善するためには連携が必要。大学と業者がタッグを組むことができた画期的な声明だ」と語った。」と結んでいる。

記事の共同声明「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組み」については、次の通りである。
https://www.shidairen.or.jp/files/user/20190319kyodoseimei.pdf
この「ワンデー(1日)インターンシップ」や「学業に影響する平日の開催」の原則廃止については、2月10日に経団連が方針を決定し、3月末に開く大学側との産学協議会で計画の採択を提案予定とのことである。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021000985&g=eco
もともと、1日インターンは、2017年4月10日に、経団連がインターンの最低日数要件を削除したことから蔓延したものである。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030_kaitei.html
一応、「インターンシップ本来の趣旨を踏まえ、教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しないことを明記した。」としていたが、チェックも罰則もなく、実質的に骨抜きの制約だった。
そもそも、1日インターが、「単なる企業説明会や会社見学が大半」になるのは当たり前で、企業による学生との早期接触という協定破り以外の何物でもないわけだが、その横行を実質的に容認するものだったわけである。
今回、経団連が方針転換しても、有効に機能するのかという懸念はあるが、少なくとも経団連中核の大企業は順守せざるを得ないわけだから、その影響は小さくない。また、折しもコロナ・ショックで、就活は売り手市場から氷河期に向かうものと考えられ、企業側もじっくり学生を選別する必要があるという状況にもマッチしている。
建て前とは別に、インターンへの参加が、学生にとって就活に有利であったことは間違いない。中には、「内々定」に到ったという例もあったようだが、極めて稀な例外であり、今後の就活では、企業側にそこまで焦って学生を確保すべき誘因はなくなるであろう。掟破りのインターンに振り回されて学業が疎かになるようでは、本末転倒である。まず、学業にしっかり励んで、あやふやな情報に踊らされないようにすることが、これからの就活では大事になる。

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