2020年3月23日 日経朝刊5面 ●大卒採用 来春4.2%増 文系11年ぶり減 本社1次集計
2020年3月24日 日経朝刊17面 ●(ビジネス激変 経営者の見方) 企業の新卒採用減も
最初の記事は、「日本経済新聞社が22日まとめた2021年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、大卒採用計画が20年春実績見込み比4.2%増と11年連続のプラスとなった。文科系は1.4%減と11年ぶりにマイナスに転じた。19年10月の消費増税などの影響もあって非製造業を中心に採用を抑制する動きが目立った。新型コロナウイルスの感染拡大も今後の採用計画への懸念材料となってきた。」という書き出しである。
続けて、「大卒採用計画はリーマン・ショック後に企業の採用意欲が回復した11年度から11年連続でプラスが続いた。プラス幅は前年の7.5%増から鈍化した。製造業は5.2%増、非製造業は3.8%増だった。業種別ではレジャー(14.8%減)、百貨店・スーパー(8.3%減)のほか、空運(28.4%減)や海運(15.4%減)も減少が目立った。一方で電機(7.3%増)や精密機械(5.5%増)が増加した。」としている。
また、「IT(情報技術)人材などを求める動きは依然として堅調で、大卒理工系は11.2%増と前年の10.8%増を上回る。20年春入社で採用計画に対して内定者を確保できなかった未達の比率が9.8%に達し、需給ギャップが拡大しているためと見られる。計画未達はデータの算出を始めた08年以降13年連続となった。」そうである。
一方、「新型コロナの影響で企業業績が悪化し、採用計画を抑制する懸念も高まっている。ディスコの武井房子上席研究員は「小売企業や中国に拠点を構える企業などで採用を抑える動きが出てくる可能性がある」と指摘する。「急激な採用抑制は、社内の組織の年齢構成を維持する上で支障が出るため考えにくい」(浜銀総合研究所の遠藤裕基主任研究員)との声もあった。」と結んでいる。
次の記事は、「新型コロナウイルスの感染拡大で企業の新卒採用活動が揺れている。例年3月から本格化する2021年春入社に向けた企業の採用説明会は大規模イベントの自粛要請で中止が相次ぐ。今後、新卒採用や学生の就職活動はどう変わるのか。就活支援大手ディスコ(東京・文京)の新留正朗社長に聞いたというインタビュー記事である。
まず、新型コロナの企業の新卒採用活動への影響については、「21年春入社の採用活動は不透明になってきた。もともと今年は7月下旬に東京五輪が開幕する予定だったため、選考活動を6月中に終わらせようと考える企業が多かった。ただ、新型コロナで3月に採用説明会を開けない企業が多く、今後の採用スケジュールは後ろにずれるだろう。経済への影響が長引き景気が冷え込むと、企業が採用数を減らす可能性もある」との回答である。
次いで、ウェブ上での採用説明会や面接については、「当社は11年にウェブ説明会のサービスを始めたが、普及には至っていなかった。20年は一気に広がる年になるだろう。ウェブ説明会は地方や海外の学生にとって企業を知る機会創出にもつながる。初期選考などをウェブに置き換えれば、地方や海外の学生にとっても交通費負担が減り、就職チャンスが増える」という見方を示している。
そして、リアルからウェブへの説明会や面接の全面移行については、「ウェブへの全面移行は簡単ではない。学生から人気の高い有名な大手企業はウェブ説明会で学生を集められるが、そうでない企業は集客が難しいだろう。依然としてリアルの採用説明会には利点がある。例えば、合同の採用説明会では、中堅・中小や法人向けビジネスを展開する企業など、学生からの認知度が低い企業は、合同説明会に集まった学生に能動的に働きかけられる」としている。
続けて、ウェブ採用普及に向けた課題については、「企業側にとっては学生が説明をどう受け止めたか捉えにくい。集団面接では誰が発言しているかわかりにくく、評価しにくいという企業の声もあった。一部はウェブに置き換えても、最終面接などでリアルな場で会話をしながら学生を説得したい企業もある」「学生にとっても採用説明会は企業の話を聞くだけでなく、会社全体の雰囲気や社員の表情などから企業を見極めることも大切だ。ウェブでは限界がある。企業にウェブ採用が使われ始め、様々な課題は洗い出される。今後のサービスの質の向上につながるだろう」との見解である。
最初の記事だと、2021年春入社の新卒入社の就活も、これまでとあまり変わらないような印象を受けるかもしれないが、そんな事はあり得ない。この1次集計は、3月4日までの回答をベースにしているが、それ以降の状況も激変している。それを、日経平均株価で見ると、次のようになっている。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_market-nikkeistock
すなわち、2月下旬に下落した株価は、3月に入って一段と急落しているのである。また、このアンケートの回答を担当しているのは、人事部などの部局であろうが、基本的な考え方は前例踏襲であろう。「急激な採用抑制は、社内の組織の年齢構成を維持する上で支障が出るため考えにくい」というのは、人事部的には当然の発想であるが、危機に当たっての経営者の判断とは大きな隔たりが生じる。記事で言及しているリーマン・ショックの際には、年齢構成など考える余地もなく、企業は生き残りに必死になった。今回のコロナ・ショックは、リーマン級を超えるものと思われ、とても楽観できる状況にはない。
二つの記事に出て来る就活支援大手ディスコのコメントの要諦は、「21年春入社の採用活動は不透明になってきた」「企業が採用数を減らす可能性もある」という点にある。東京オリンピック・パラリンピックも延期は確実になった。企業が学生の内定を急ぐ必要は、まったくなくなったわけである。採用スケジュールは、夏から秋にかけてにずれ込み、コロナが一段落しなければ、冬場にもかかってくると考えるべきであろう。
学生にとっては、長く辛い就活が続くことになる。当面を考えると、採用試験などの日程が毎年決まっている公務員などに、まず注力した方がよいのではないか。採用数が絞られると、必ず学力テストの比重が高くなる。公務員試験の問題は、その学力を測るバロメーターにもなるから、延期された説明会などで浮いた時間を活用するための格好の準備素材になるであろう。資格試験の勉強に打ち込むのもよい。
とにかく、昨年までの就活ノウハウは、通用しない。これからが長丁場の戦いである。多少の息抜きは必要だろうが、日々、無駄な時間を過ごすことのないようにする必要がある。それはあたかも、大学入試の受験準備に似ている。
2020年3月23日月曜日
2020年3月23日 朝日朝刊29面 ●就活、答えはひとつじゃない 新型コロナ影響、不安な学生へ先輩語る
「来春卒業予定の大学3年生らを対象にした就職・採用活動の説明会が1日、解禁されました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で説明会が中止になるなど、不安も少なからずあるなか、就職活動にどんな心構えで臨めばいいのか、社会人の先輩に聞いてみました。」という特集記事である。
まず、DeNA会長・南場智子さん(57)の話であるが、自身の体験談として、「コンサルタント会社(マッキンゼー・アンド・カンパニー)に勤める先輩に誘われて行った説明会で格好良さにひかれ、たまたまその会社に内定しました。一番ダメな例です。自分の将来についてちゃんと考えなかったし、他の選択肢も考えていなかった。だから、入社してから苦労しました。先輩の指示の意味もわからず、焦って夜遅くまで働いて寝不足になる。周りの評価を気にして、自信がなくなる悪循環に陥っていました。」とし、「「昨年10月のDeNAの内定式では、内定者に「自分のことをうんと好きになってきてほしい」と話しました。期待に応えられない悔しさや同期との比較が気になり自信がなくなってしまう中で、自分の個性を大切にしてほしいという願いからでした。」としている。
そして、「これは、就活生にも言えると思います。就活では、足りないところをどう見せるかばかりを考えるのではなく、自分の大好きなところはどんなことかを考えてきてほしいと思います。DeNAでは自分らしさを出せるように、面接や内定式でも思い思いの服装で参加してもらっています。」とし。「会社は多様な人材がいる方が発展します。ただ、あえて言えば表面的には静かな人でも、アグレッシブな人でも良いのですが、芯は「真面目で頑張り屋」な人を求めたい。」としている。
続けて、「状況が悪いときでも、組織が強ければ必ず乗り越えられる。仕事に真摯(しんし)に取り組む社員の存在はすごく頼もしく感じます。だから、私は採用を大事にしています。」とする。
一転して、「日本の教育には、一つの答えを正しいとする価値観があります。そして「間違えない達人」をつくるんです。就職活動でも、企業や会社に偏差値や序列があるかのような情報が出回り、大企業に向かっていく。でも、職業選択に偏差値なんてあるわけないじゃないですか。夢中になって仕事をして社会貢献するという醍醐味を知ることで人は成長できるのです。」とし、「日本は少子高齢化など様々な問題に直面しています。前例がないわけだから、その対処方法にはユニークさが必要になる。「こうであらねばならない」ではなく、自分の個性を解き放って成長してほしいです。」と結んでいる。
一方、作家の万城目学さん(44)は、「私はいわゆる就職氷河期世代です。4回生(4年生)の時には、小説家になりたいという漠然とした気持ちがあるような段階で就職活動をしました。何をやりたいかもわからず、とりあえずネームバリューのある企業に応募しましたが、一次面接で落ちてばかり。途中で「もうええか」と就活をやめてしまいました。その後、小説を書き始めたのですが、書きながら「すぐには小説家にはなれない」と感じ、翌年に再び就職活動をしました。」としている。
そして、「1回目があったので、就活は本気で取り組まないといけないことはわかっていました。そこで私が立てた戦略はあまり働かない会社に入ろう、ということです。今思えば、ずいぶん上から目線かもしれませんね。当時は説明会で、モーレツに働くことを社員が武勇伝のように語る会社がたくさんありました。小説を書くためには仕事以外の時間がほしいし、家族とも過ごしたいし、土日は家にいたい。だから、そういった会社は選択肢から外しました。」とし、「本当に面接での受けが悪かったですね。僕は、具体的な作業を一緒にしたら、だれよりもできるという自信はあるんです。でも、面接では自由闊達(かったつ)にしゃべれない。わずかな時間でフィーリングが合うというタイプではないんですね。僕の場合は、採用課長が最終面接でうまく声をかけてくれて、なんとか素材メーカーから内定をもらいました。」としている。
その上で、「就職活動って苦しいですよね、良いことないですもん。私も落ち込んではノートにぽつんと黒電話の落書きを描き、「鳴らない電話」と名付けていました。就職活動のような苦行には、メンタルの持ち方が大事かもしれません。すごく結果の悪かった日でも、明日のためには気持ちの切り替えが大切です。引きずるともっと自信がなくなるので、忘れることがいいんじゃないでしょうか。」とし、「本当は1秒でも早く内定を取って就活を終えてほしいですけれど、そうもいかない。就活生は本当につらいですよね。今は売り手市場だからって、自分の時より楽だとか言いたくもないし、いつかは決まると言うのも無責任だし。ただ、働き出したら、もっと多くの悩みに出合います。たいしたことないんですよ、その会社に行けるか、行けないかは。あまり大きなことと捉えすぎないでほしいです。」と結んでいる。
そして記事では、「リクルートキャリア就職みらい研究所が3月6~8日に企業の人事担当者へ行った調査では、2021年卒の採用活動に新型コロナウイルスの感染拡大の影響が「ある」との回答が58.4%、「現時点ではないが、今後は影響がありそう」との回答が29.7%だった。」とし、「影響が「ある」「ありそう」と回答した人事担当者685人に課題を聞いたところ「採用スケジュールの見直し」を挙げた人が76.6%で最も多かった。具体的な影響としては、グループ面接に影響があるとしたのが248人、エントリーシートなど書類選考に影響があるとの回答が180人だった。書類選考への影響では、日程を変更して実施する予定とする企業が50%にのぼった。」としている。
また、「採用予定数を当初の計画から変更するかを尋ねると、「変更しない」が48.2%と半数近くを占めた。「(増減を)検討中」と答えた企業は29.5%、「減らす」とした企業は12.7%だった。同研究所の増本全所長は「依然として企業の採用意欲はあるが、スケジュールを遅らせる企業が多い。学生は不安になると思うが、冷静に志望企業のスケジュールを確認することや積極的な情報収集を心がけてほしい」と話す。」とし、「「会社説明会は3年生の3月、面接は4年生の6月解禁」とする大学生の就職・採用活動の日程ルールは、2020年春に卒業する学生まで主導してきた経団連に代わり、政府がルールをつくり、企業に守るように要請している。」が、「就職活動は前倒しされている。就職情報会社ディスコの調査では、説明会解禁の3月1日時点で内々定を得た学生は前年実績より2.0ポイント多い15.9%だった。」としている。
コロナ・ショックの状況下でも、「説明会解禁の3月1日時点で内々定を得た学生は前年実績より2.0ポイント多い15.9%」というのは驚きだが、「内々定」というのは、「内定」とは異なり、口約束レベルのものであり、また、コロナ・ショックによる状況激変で、非常に不安定な状態になるであろう。「内定取消」には社会的な批判も大きく、補償問題が出て来る可能性があるが、面接解禁の6月より前の「内々定」は、掟破りの行為であるから、関係する企業だけでなく学生側にも問題があるとみなされるはずで、言ってみれば風前の灯の状況になる。
記事のお二人の話を見てみると、南場智子氏は、会長という経営者の立場に立っており、学生からすると、思い出話的な印象になるだろう。ただ、「自分の個性を大切にしてほしい」という点は、確かに重要なことで、就活の中では見失いがちであるから、しんどい時は、少し休息をとって、自分は何をしたいのかなど、目前の就活の事ではなく、自分の未来を考える時間を取った方がいい。「職業選択に偏差値なんてあるわけない」のは、結婚と同じようなものだと考えればいい。誰もが憧れるスターと結婚しても、それで幸せになれるとは限らない。長い人生と、この人となら一緒に歩める、という気持ちが大事であろう。しかも、その幸せは、結婚したらつかめるというものではない。夫婦がお互いにたゆまぬ努力を重ねて初めて、結婚生活の幸せが手に入るのである。就職だって同じ事で、一番大事なことは、この会社なら自分なりにやっていけそうと感じられることである。それは、規模でも給与でもなく、他人が羨むかどうかではない。自分自身を大切にしなければ幸せになれないのは、就職でも同じである。
一方の万城目学氏の方は、「小説家になりたい」という思いを大事にしつつ、「すぐには小説家にはなれない」というか、要するに、食っていかなければならないということで、就職活動をしたのであろう。「あまり働かない会社に入ろう」というのはもっての他の考え方だが、「具体的な作業を一緒にしたら、だれよりもできるという自信はある」ということだから、無駄な時間は過ごしたくないということであり、実は、こういう人は非常に仕事ができることが多い。限られた時間を、いかに有効に過ごすか、というのは人生の大きなテーマであり、そういう考え方の人には無駄な動きが少ないからである。その上で、氏は「就職活動って苦しい」としながら、「たいしたことない」と言い切る。長い人生において、あの学校に受かったら、あの会社には入れたら、あの人と結婚できたら、と転機になりそうな事はありそうに思えるものだが、そうなったとしても、そうならなかったとしても、人生は続いていく。「決定的な瞬間」というのは、実は、ありそうでないものなのである。例えば、オリンピックで金メダルを取れれば死んでもいいと思っていても、そうなればなったで、その後の人生は続く。人間の人生の価値を決めるのは、所詮、自分自身以外にはない。「人もうらやむ」なんて、どうでもいいのである。自分で自分を褒めてあげられるかどうか、頑張った自分を一番良く知っているのは、貴方自身なのだから。
「来春卒業予定の大学3年生らを対象にした就職・採用活動の説明会が1日、解禁されました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で説明会が中止になるなど、不安も少なからずあるなか、就職活動にどんな心構えで臨めばいいのか、社会人の先輩に聞いてみました。」という特集記事である。
まず、DeNA会長・南場智子さん(57)の話であるが、自身の体験談として、「コンサルタント会社(マッキンゼー・アンド・カンパニー)に勤める先輩に誘われて行った説明会で格好良さにひかれ、たまたまその会社に内定しました。一番ダメな例です。自分の将来についてちゃんと考えなかったし、他の選択肢も考えていなかった。だから、入社してから苦労しました。先輩の指示の意味もわからず、焦って夜遅くまで働いて寝不足になる。周りの評価を気にして、自信がなくなる悪循環に陥っていました。」とし、「「昨年10月のDeNAの内定式では、内定者に「自分のことをうんと好きになってきてほしい」と話しました。期待に応えられない悔しさや同期との比較が気になり自信がなくなってしまう中で、自分の個性を大切にしてほしいという願いからでした。」としている。
そして、「これは、就活生にも言えると思います。就活では、足りないところをどう見せるかばかりを考えるのではなく、自分の大好きなところはどんなことかを考えてきてほしいと思います。DeNAでは自分らしさを出せるように、面接や内定式でも思い思いの服装で参加してもらっています。」とし。「会社は多様な人材がいる方が発展します。ただ、あえて言えば表面的には静かな人でも、アグレッシブな人でも良いのですが、芯は「真面目で頑張り屋」な人を求めたい。」としている。
続けて、「状況が悪いときでも、組織が強ければ必ず乗り越えられる。仕事に真摯(しんし)に取り組む社員の存在はすごく頼もしく感じます。だから、私は採用を大事にしています。」とする。
一転して、「日本の教育には、一つの答えを正しいとする価値観があります。そして「間違えない達人」をつくるんです。就職活動でも、企業や会社に偏差値や序列があるかのような情報が出回り、大企業に向かっていく。でも、職業選択に偏差値なんてあるわけないじゃないですか。夢中になって仕事をして社会貢献するという醍醐味を知ることで人は成長できるのです。」とし、「日本は少子高齢化など様々な問題に直面しています。前例がないわけだから、その対処方法にはユニークさが必要になる。「こうであらねばならない」ではなく、自分の個性を解き放って成長してほしいです。」と結んでいる。
一方、作家の万城目学さん(44)は、「私はいわゆる就職氷河期世代です。4回生(4年生)の時には、小説家になりたいという漠然とした気持ちがあるような段階で就職活動をしました。何をやりたいかもわからず、とりあえずネームバリューのある企業に応募しましたが、一次面接で落ちてばかり。途中で「もうええか」と就活をやめてしまいました。その後、小説を書き始めたのですが、書きながら「すぐには小説家にはなれない」と感じ、翌年に再び就職活動をしました。」としている。
そして、「1回目があったので、就活は本気で取り組まないといけないことはわかっていました。そこで私が立てた戦略はあまり働かない会社に入ろう、ということです。今思えば、ずいぶん上から目線かもしれませんね。当時は説明会で、モーレツに働くことを社員が武勇伝のように語る会社がたくさんありました。小説を書くためには仕事以外の時間がほしいし、家族とも過ごしたいし、土日は家にいたい。だから、そういった会社は選択肢から外しました。」とし、「本当に面接での受けが悪かったですね。僕は、具体的な作業を一緒にしたら、だれよりもできるという自信はあるんです。でも、面接では自由闊達(かったつ)にしゃべれない。わずかな時間でフィーリングが合うというタイプではないんですね。僕の場合は、採用課長が最終面接でうまく声をかけてくれて、なんとか素材メーカーから内定をもらいました。」としている。
その上で、「就職活動って苦しいですよね、良いことないですもん。私も落ち込んではノートにぽつんと黒電話の落書きを描き、「鳴らない電話」と名付けていました。就職活動のような苦行には、メンタルの持ち方が大事かもしれません。すごく結果の悪かった日でも、明日のためには気持ちの切り替えが大切です。引きずるともっと自信がなくなるので、忘れることがいいんじゃないでしょうか。」とし、「本当は1秒でも早く内定を取って就活を終えてほしいですけれど、そうもいかない。就活生は本当につらいですよね。今は売り手市場だからって、自分の時より楽だとか言いたくもないし、いつかは決まると言うのも無責任だし。ただ、働き出したら、もっと多くの悩みに出合います。たいしたことないんですよ、その会社に行けるか、行けないかは。あまり大きなことと捉えすぎないでほしいです。」と結んでいる。
そして記事では、「リクルートキャリア就職みらい研究所が3月6~8日に企業の人事担当者へ行った調査では、2021年卒の採用活動に新型コロナウイルスの感染拡大の影響が「ある」との回答が58.4%、「現時点ではないが、今後は影響がありそう」との回答が29.7%だった。」とし、「影響が「ある」「ありそう」と回答した人事担当者685人に課題を聞いたところ「採用スケジュールの見直し」を挙げた人が76.6%で最も多かった。具体的な影響としては、グループ面接に影響があるとしたのが248人、エントリーシートなど書類選考に影響があるとの回答が180人だった。書類選考への影響では、日程を変更して実施する予定とする企業が50%にのぼった。」としている。
また、「採用予定数を当初の計画から変更するかを尋ねると、「変更しない」が48.2%と半数近くを占めた。「(増減を)検討中」と答えた企業は29.5%、「減らす」とした企業は12.7%だった。同研究所の増本全所長は「依然として企業の採用意欲はあるが、スケジュールを遅らせる企業が多い。学生は不安になると思うが、冷静に志望企業のスケジュールを確認することや積極的な情報収集を心がけてほしい」と話す。」とし、「「会社説明会は3年生の3月、面接は4年生の6月解禁」とする大学生の就職・採用活動の日程ルールは、2020年春に卒業する学生まで主導してきた経団連に代わり、政府がルールをつくり、企業に守るように要請している。」が、「就職活動は前倒しされている。就職情報会社ディスコの調査では、説明会解禁の3月1日時点で内々定を得た学生は前年実績より2.0ポイント多い15.9%だった。」としている。
コロナ・ショックの状況下でも、「説明会解禁の3月1日時点で内々定を得た学生は前年実績より2.0ポイント多い15.9%」というのは驚きだが、「内々定」というのは、「内定」とは異なり、口約束レベルのものであり、また、コロナ・ショックによる状況激変で、非常に不安定な状態になるであろう。「内定取消」には社会的な批判も大きく、補償問題が出て来る可能性があるが、面接解禁の6月より前の「内々定」は、掟破りの行為であるから、関係する企業だけでなく学生側にも問題があるとみなされるはずで、言ってみれば風前の灯の状況になる。
記事のお二人の話を見てみると、南場智子氏は、会長という経営者の立場に立っており、学生からすると、思い出話的な印象になるだろう。ただ、「自分の個性を大切にしてほしい」という点は、確かに重要なことで、就活の中では見失いがちであるから、しんどい時は、少し休息をとって、自分は何をしたいのかなど、目前の就活の事ではなく、自分の未来を考える時間を取った方がいい。「職業選択に偏差値なんてあるわけない」のは、結婚と同じようなものだと考えればいい。誰もが憧れるスターと結婚しても、それで幸せになれるとは限らない。長い人生と、この人となら一緒に歩める、という気持ちが大事であろう。しかも、その幸せは、結婚したらつかめるというものではない。夫婦がお互いにたゆまぬ努力を重ねて初めて、結婚生活の幸せが手に入るのである。就職だって同じ事で、一番大事なことは、この会社なら自分なりにやっていけそうと感じられることである。それは、規模でも給与でもなく、他人が羨むかどうかではない。自分自身を大切にしなければ幸せになれないのは、就職でも同じである。
一方の万城目学氏の方は、「小説家になりたい」という思いを大事にしつつ、「すぐには小説家にはなれない」というか、要するに、食っていかなければならないということで、就職活動をしたのであろう。「あまり働かない会社に入ろう」というのはもっての他の考え方だが、「具体的な作業を一緒にしたら、だれよりもできるという自信はある」ということだから、無駄な時間は過ごしたくないということであり、実は、こういう人は非常に仕事ができることが多い。限られた時間を、いかに有効に過ごすか、というのは人生の大きなテーマであり、そういう考え方の人には無駄な動きが少ないからである。その上で、氏は「就職活動って苦しい」としながら、「たいしたことない」と言い切る。長い人生において、あの学校に受かったら、あの会社には入れたら、あの人と結婚できたら、と転機になりそうな事はありそうに思えるものだが、そうなったとしても、そうならなかったとしても、人生は続いていく。「決定的な瞬間」というのは、実は、ありそうでないものなのである。例えば、オリンピックで金メダルを取れれば死んでもいいと思っていても、そうなればなったで、その後の人生は続く。人間の人生の価値を決めるのは、所詮、自分自身以外にはない。「人もうらやむ」なんて、どうでもいいのである。自分で自分を褒めてあげられるかどうか、頑張った自分を一番良く知っているのは、貴方自身なのだから。
2020年3月21日土曜日
2020年3月21日 朝日夕刊6面 ●就活サイトと大学「平日インターンNO」 「学業に悪影響」、情報掲載せず
「授業がある時期の平日に実施するインターンシップは認めない――。就職情報サイトを運営するリクルートキャリアやマイナビなどで作る団体と、国公私立の大学などの団体が19日、共同声明を発表した。就職活動をめぐり立場が異なることが多い就職情報会社と大学が共同声明を出すのは初めて。今月末に開かれる経団連と大学などで作る協議会もこの声明を支持する見通しだ。」との書き出しの記事である。
続けて、「声明は、多くが大学3年生から参加するインターンシップが、実質的に採用選考プロセスとなっていることや、授業がある時期の平日に実施するものがあるとして、学生の学業に悪影響が出ていると指摘。長期休暇中や休日に実施するインターンシップしか認めないと宣言した。1日で行う単なる会社説明会を言い換えて使う企業が多いとされる「ワンデーインターンシップ」という表記を、就職情報サイトで使わないことを宣言した。」という。
そして、「情報サイト側のマイナビの浜田憲尚専務は「今後は企業が授業に支障を及ぼすような平日に実施するインターンシップの情報は、各社のサイトに掲載しない」。私立大の団体で就職問題を担当する明治大の土屋恵一郎学長は「これまで大学と就職業者の関係は良くなかったが、現状を改善するためには連携が必要。大学と業者がタッグを組むことができた画期的な声明だ」と語った。」と結んでいる。
記事の共同声明「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組み」については、次の通りである。
https://www.shidairen.or.jp/files/user/20190319kyodoseimei.pdf
この「ワンデー(1日)インターンシップ」や「学業に影響する平日の開催」の原則廃止については、2月10日に経団連が方針を決定し、3月末に開く大学側との産学協議会で計画の採択を提案予定とのことである。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021000985&g=eco
もともと、1日インターンは、2017年4月10日に、経団連がインターンの最低日数要件を削除したことから蔓延したものである。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030_kaitei.html
一応、「インターンシップ本来の趣旨を踏まえ、教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しないことを明記した。」としていたが、チェックも罰則もなく、実質的に骨抜きの制約だった。
そもそも、1日インターが、「単なる企業説明会や会社見学が大半」になるのは当たり前で、企業による学生との早期接触という協定破り以外の何物でもないわけだが、その横行を実質的に容認するものだったわけである。
今回、経団連が方針転換しても、有効に機能するのかという懸念はあるが、少なくとも経団連中核の大企業は順守せざるを得ないわけだから、その影響は小さくない。また、折しもコロナ・ショックで、就活は売り手市場から氷河期に向かうものと考えられ、企業側もじっくり学生を選別する必要があるという状況にもマッチしている。
建て前とは別に、インターンへの参加が、学生にとって就活に有利であったことは間違いない。中には、「内々定」に到ったという例もあったようだが、極めて稀な例外であり、今後の就活では、企業側にそこまで焦って学生を確保すべき誘因はなくなるであろう。掟破りのインターンに振り回されて学業が疎かになるようでは、本末転倒である。まず、学業にしっかり励んで、あやふやな情報に踊らされないようにすることが、これからの就活では大事になる。
「授業がある時期の平日に実施するインターンシップは認めない――。就職情報サイトを運営するリクルートキャリアやマイナビなどで作る団体と、国公私立の大学などの団体が19日、共同声明を発表した。就職活動をめぐり立場が異なることが多い就職情報会社と大学が共同声明を出すのは初めて。今月末に開かれる経団連と大学などで作る協議会もこの声明を支持する見通しだ。」との書き出しの記事である。
続けて、「声明は、多くが大学3年生から参加するインターンシップが、実質的に採用選考プロセスとなっていることや、授業がある時期の平日に実施するものがあるとして、学生の学業に悪影響が出ていると指摘。長期休暇中や休日に実施するインターンシップしか認めないと宣言した。1日で行う単なる会社説明会を言い換えて使う企業が多いとされる「ワンデーインターンシップ」という表記を、就職情報サイトで使わないことを宣言した。」という。
そして、「情報サイト側のマイナビの浜田憲尚専務は「今後は企業が授業に支障を及ぼすような平日に実施するインターンシップの情報は、各社のサイトに掲載しない」。私立大の団体で就職問題を担当する明治大の土屋恵一郎学長は「これまで大学と就職業者の関係は良くなかったが、現状を改善するためには連携が必要。大学と業者がタッグを組むことができた画期的な声明だ」と語った。」と結んでいる。
記事の共同声明「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組み」については、次の通りである。
https://www.shidairen.or.jp/files/user/20190319kyodoseimei.pdf
この「ワンデー(1日)インターンシップ」や「学業に影響する平日の開催」の原則廃止については、2月10日に経団連が方針を決定し、3月末に開く大学側との産学協議会で計画の採択を提案予定とのことである。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021000985&g=eco
もともと、1日インターンは、2017年4月10日に、経団連がインターンの最低日数要件を削除したことから蔓延したものである。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030_kaitei.html
一応、「インターンシップ本来の趣旨を踏まえ、教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しないことを明記した。」としていたが、チェックも罰則もなく、実質的に骨抜きの制約だった。
そもそも、1日インターが、「単なる企業説明会や会社見学が大半」になるのは当たり前で、企業による学生との早期接触という協定破り以外の何物でもないわけだが、その横行を実質的に容認するものだったわけである。
今回、経団連が方針転換しても、有効に機能するのかという懸念はあるが、少なくとも経団連中核の大企業は順守せざるを得ないわけだから、その影響は小さくない。また、折しもコロナ・ショックで、就活は売り手市場から氷河期に向かうものと考えられ、企業側もじっくり学生を選別する必要があるという状況にもマッチしている。
建て前とは別に、インターンへの参加が、学生にとって就活に有利であったことは間違いない。中には、「内々定」に到ったという例もあったようだが、極めて稀な例外であり、今後の就活では、企業側にそこまで焦って学生を確保すべき誘因はなくなるであろう。掟破りのインターンに振り回されて学業が疎かになるようでは、本末転倒である。まず、学業にしっかり励んで、あやふやな情報に踊らされないようにすることが、これからの就活では大事になる。
2020年3月20日金曜日
2020年3月20日 朝日朝刊6面 日本ガイシの新制度 60歳超えても賃金は下げない
記事は、「60歳を超えても昔と変わらずお金を稼げるサラリーマンは珍しい。ところが、「65歳まで賃金が下がらない」制度を始めた東証1部企業がある。創業101年のセラミックス大手、日本ガイシ(名古屋市)だ。」という書き出しで、「もともとは60歳を超えると1年更新で再雇用され、賃金は半分に落ちていた。2017年春に始まった新制度は定年を65歳にし、賃金水準は維持する。山田忠明・常務執行役員は「厳しく言えば、60前と同様に働いてほしいというメッセージ」と話す。」というものである。
その背景として、「公的年金の支給開始年齢の引き上げにあわせ、希望者全員を65歳まで雇うことが13年施行の改正高年齢者雇用安定法で義務づけられた。バブル期の採用増もあり、日本ガイシでは今後、毎年100人規模の社員が60歳を迎える。「戦力化」は待ったなしの課題だが、半分の処遇でモチベーションを保つのは難しい。出した答えが、以前と変わらない賃金で報いることだった。」としている。
しかし、「ただ、単に60歳超の賃金を増やせば会社の負担は急増する。そこで、全体の賃金制度も改め、子育て世代の昇給を早める一方、ベテランの伸びを緩やかにした。ここで得た「節約分」に企業年金分のお金を加え、それでも足らない数億円は会社が負担した。「働いて稼いでくれたらマイナスにはならない」。大島卓社長ら経営陣もGOサインを出し、労組との協議で、健康や介護の事情に配慮した短時間勤務や週3日勤務の仕組みも整えた。」とのことである。
その上で、「「人生100年時代」を迎え、政府は本人が希望すれば70歳まで働ける機会をつくる努力義務を企業に課す方針だ。「戦力」として働く60歳超の待遇の見直し議論は、多くの労使で今後避けられなくなる。」と結んでいる。
背景となっている「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正は、次の通りである。
そして、2019年の「高年齢者の雇用状況」は、次のようになっている。
企業の雇用確保措置への対応は、①「定年制の廃止」(2.7%)、②「定年の引上げ」(19.4%)、③「継続雇用制度の導入」(77.9%)に分かれるが、記事の日本ガイシは、③の1年更新で再雇用から、②の定年65歳、に移ったわけである。
再雇用では、正社員から非正規雇用に身分変更となるから賃金の再設定が可能であり、引き下げが普通だが、定年延長なら正社員の身分は継続するので、賃金は基本的に下げられない。その点では、珍しくも何ともないのだが、結局のところ、記事は、③→②の変更が珍しいと言っているわけである。
だが、実際に、そのような変更をしているか、あるいは初めから定年延長にしている企業は増えている。そのことは、次の5年前の2014年資料と比較してみれば分かる。
すなわち、5年前は、①「定年制の廃止」(2.7%)、②「定年の引上げ」(15.6%)、
③「継続雇用制度の導入」(81.7%)であったから、対象企業に変化はあるものの、定年延長企業が増えていることは間違いない。
その定年延長の場合の最大の問題は、賃金カーブの修正である。すなわち、旧定年前の給与を従来より下げて、定年延長後につなげるわけである。これは、年功賃金の修正ということになる。
しかし、企業の先行きが不透明になってきている中、いわば「余生」が延びる高齢従業員にとっては受け入れやすいかもしれないが、若年の従業員にとっては、先輩よりも給与上昇の見込みが抑えられる上に、さらに上司として居座られる期間が長くなるわけだから、たまったものではない。よって、本格的に対応しようとすれば、賃金カーブのみならず、終身雇用のあり方にも変更を加えなければならないことになる。
そこまでの認識が進めば、「定年」には意味がなくなる。「定年」は、そもそも、その年齢までの雇用保障であり、年齢差別的なものである。業績や貢献による処遇を行う上では、むしろ邪魔になるわけであり、そのような理解に立てば、「定年撤廃」に向かうことになるであろう。「年齢差別」を禁止している米国などには、「定年」はない。
ただ、「定年」が根付いており、正社員と非正規労働者との間で歴然とした身分差別が許容されている日本の現状からすると、「定年撤廃」には踏み込みにくいのは事実であろう。
「定年撤廃」は、正社員としての身分格差を温存する「定年延長」とは真逆とも言える。
正社員と非正規という区分も意味を失い、業績と貢献による処遇を求められることになる。よって、全般的には、正社員の給与は下落し、非正規労働者(この区分は無意味になるが)の給与は上昇する。「同一労働同一賃金」への道も開けるであろう。だから、正社員主体の組合が抵抗することになるだろうが。
2020年3月19日木曜日
2020年3月19日 日経朝刊17面 ●新型コロナで内定取り消し 企業、救済に名乗り
2020年3月20日 朝日朝刊9面 内定取り消し21人 半数は宿泊・飲食業 新型コロナ
最初の日経の記事は、 「新型コロナウイルスの感染拡大が企業の採用にも影響を及ぼし始めている。中小企業などで2020年4月に入社予定の学生の内定を取り消す動きが出ており、こうした学生を救おうと採用に乗り出す動きがある。学生優位の売り手市場といわれるなか、新入社員も新型コロナに翻弄される。」というものである。
記事では、救済に名乗りをあげた企業として、眼鏡専門店のオンデーズ(東京・品川)、伊藤忠商事子会社で携帯電話の販売代理店大手のコネクシオ、家電量販店のノジマ、「カラオケパセラ」などを展開するニュートン(東京・新宿)の例が紹介され、就職情報大手のディスコの武井房子上席研究員の「業績に影響が出そうな旅行業界や中国に拠点のある会社で内定取り消しが発生する可能性がある」とのコメントが掲載されている。
次いで、「新型コロナの影響で企業の経営が厳しい場合でも一方的な内定取り消しは難しい」として、労働や雇用の法律に詳しい高仲幸雄弁護士の「安易な内定取り消しは裁判で無効とされるリスクがある」「企業は内定者に一定の金銭を支払って内定の解約で合意を得るなど他の策も検討すべきだ」とのコメントを掲載している。
最後は、「内定取り消しの事例は08年のリーマン・ショック後や11年の東日本大震災後にもあり社会問題になった。」と結んでいる。
関連で、「厚生労働省は18日、新型コロナウイルス感染症の拡大による今春就職予定の学生らへの採用内定取り消しが17日時点で12社20人に達したと明らかにした。内訳は高校生が5社12人、大学生や専門学校生などが7社8人だった。いずれも新型コロナによる業績不振が原因で、宿泊業や飲食業が4社10人となった。」ことも報じられており、「政府は13日に経団連や日本商工会議所などに最大限の経営努力で内定取り消しを回避するように要請している。」ことにも触れられている。
次の朝日の記事は、基本的に同様の内容であるが、「加藤勝信厚生労働相は19日の閣議後会見で、新型コロナウイルス感染拡大の影響による企業の採用内定取り消しが、18日時点で13社計21人にのぼることを明らかにした。厚労省は企業向けの助成金を活用するなどして、企業に内定を取り消さないよう改めて呼びかけている。」と報じている。
時点の違いのためか、日経記事より1人多いが、「21人の内訳は、3月に卒業する高校生13人、大学生ら8人。業界別では、観光客の減少で打撃を受けている「宿泊業・飲食サービス業」が10人で最も多いという。13日時点で同省が確認した内定取り消しは高校生の1人だった。各地のハローワークには企業から内定取り消しに関する相談が寄せられているといい、今後さらに増える可能性がある。」としている。また、「内定取り消しなどを防ぐため、厚労省は雇用を維持した企業で一定の要件を満たした場合に支給する「雇用調整助成金」の要件を新型コロナウイルス対策の特例として緩和しており、この活用を呼びかけている。」とのことである。
関連で、日経記事と同様に、「感染拡大の影響などで内定を取り消された学生について、企業が積極的に採用をめざす動きが出ている。主に飲食店やサービス業といった人手不足が深刻な業界で、この機会に人材を確保するねらいがある。」ことも報じている。
例としては、牛丼チェーンの松屋フーズ、カレー店のチェーンを展開するゴーゴーカレーグループ、うどん店を展開するグルメ杵屋(大阪市)やとんかつ店の平田牧場(山形県酒田市)、総合スーパーのユニー(愛知県稲沢市)、食品スーパーのベルク(埼玉県鶴ケ島市)、眼鏡専門店を運営するビジョンメガネ(大阪市)を挙げている。
関連で、「厚生労働省は18日、新型コロナウイルス感染症の拡大による今春就職予定の学生らへの採用内定取り消しが17日時点で12社20人に達したと明らかにした。内訳は高校生が5社12人、大学生や専門学校生などが7社8人だった。いずれも新型コロナによる業績不振が原因で、宿泊業や飲食業が4社10人となった。」ことも報じられており、「政府は13日に経団連や日本商工会議所などに最大限の経営努力で内定取り消しを回避するように要請している。」ことにも触れられている。
次の朝日の記事は、基本的に同様の内容であるが、「加藤勝信厚生労働相は19日の閣議後会見で、新型コロナウイルス感染拡大の影響による企業の採用内定取り消しが、18日時点で13社計21人にのぼることを明らかにした。厚労省は企業向けの助成金を活用するなどして、企業に内定を取り消さないよう改めて呼びかけている。」と報じている。
時点の違いのためか、日経記事より1人多いが、「21人の内訳は、3月に卒業する高校生13人、大学生ら8人。業界別では、観光客の減少で打撃を受けている「宿泊業・飲食サービス業」が10人で最も多いという。13日時点で同省が確認した内定取り消しは高校生の1人だった。各地のハローワークには企業から内定取り消しに関する相談が寄せられているといい、今後さらに増える可能性がある。」としている。また、「内定取り消しなどを防ぐため、厚労省は雇用を維持した企業で一定の要件を満たした場合に支給する「雇用調整助成金」の要件を新型コロナウイルス対策の特例として緩和しており、この活用を呼びかけている。」とのことである。
関連で、日経記事と同様に、「感染拡大の影響などで内定を取り消された学生について、企業が積極的に採用をめざす動きが出ている。主に飲食店やサービス業といった人手不足が深刻な業界で、この機会に人材を確保するねらいがある。」ことも報じている。
例としては、牛丼チェーンの松屋フーズ、カレー店のチェーンを展開するゴーゴーカレーグループ、うどん店を展開するグルメ杵屋(大阪市)やとんかつ店の平田牧場(山形県酒田市)、総合スーパーのユニー(愛知県稲沢市)、食品スーパーのベルク(埼玉県鶴ケ島市)、眼鏡専門店を運営するビジョンメガネ(大阪市)を挙げている。
内定取消が、いよいよ広がってきているが、一方で、救済に臨む企業も出てきたという記事である。もちろん、そうした企業も、「善意」だけでそうするわけではない。事態が落ち着いたら人手不足が再燃すると考えているのであろう。来月4月入社が取り消された学生にとっては、藁にも縋る思いであろうし、とにかくチャレンジする方がよい。
ただし、来年春入社の就活生にとっては、注意すべき点がある。普通に考えれば、このように手を差し伸べる企業は経営状況が悪くないように思えるが、一点だけ、必ずチェックしておかなければならない点がある。それは、中途退職率である。大量に採用し、大量に退職しているという連鎖になっている場合、職場環境に問題がある場合が多い。
しかし、残念ながら、この中途退職率は、企業の開示義務情報とはなっていない。そのため、実情を把握することは困難である。一つの方法は、ネット上の口コミをチェックすることである。当てにならないものや、悪意によるものもあるので、過度に信用するのは危険だが、一応の企業風土を感じ取ることはできよう。企業側が真実でないと言うのなら、そもそも中途退職率を公表すべきなのだが、勝手に出されている情報も信用できない。
より客観的なデータとしては、有価証券報告書や会社四季報での従業員数と平均年齢が参考になり得る。採用が大量で退職が少ないのなら、従業員数と平均年齢は、基本的には増加しているはずである。もっとも、定年退職者が多い場合には、そうならないので、過去何年かのデータを並べてみる必要がある。
ともあれ、就活では、最低限、志望企業のHPの熟読に加え、有価証券報告書や会社四季報に何度も目を通し、業界他社の状況とも比較するなどの分析努力が不可欠であろう。
なお、上記記事にかかる厚生労働省の関連資料は、次の通りである。
<上記が3月13日の加藤厚労大臣の記者会見で、内定取消(この時点では1名)関連は、以下の通り。記事の19日の記者会見の概要は、まだ掲載されていない。>
記者:今回の感染症拡大の影響で、就職が決まっていた学生さんの内定の取り消しですとか、入社時期の延期といった事態が起きています。それに対しての受け止めと、厚労省として何か企業に要請していくとか、何らかの対応はお考えでしょうか。
大臣:一つは、内定の取り消しがあったというのは確か国会でも申し上げたと思いますが、まだ1件と承知をしております。内定を取り消しする場合には届け出をすることになっていますので。また、そもそも内定取り消しというのはいわば労働契約が成立したと認められる場合については、まさに客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない取り消しは無効と、これは通常の解雇と一緒でありますから、企業の皆さん方には採用内定の取り消し防止をするため、最大限の経営努力を行うようお願いをさせていただいておりまして、これらについては、経済団体等に対して、今回の一連の雇用調整助成金の特別措置等をそれぞれ周知する際に、重ねてそうしたお願いもしております。また、採用内定の取り消しを受けられた方については、ハローワーク等において学校とも連携しながら新たな就職先の確保に取り組むなど、丁寧に就職支援を行っていきたいと思っております。引き続き、そういった届け出の状況等々に注視をしていきたいと思います。
<上記は、採用内定取消防止に関する企業側への要請と学生側への注意喚起である。>
2020年3月18日水曜日
2020年3月18日 日経夕刊6面 障害年金、上乗せの条件は? 厚年の加入中に初診日
質疑応答形式の記事で、「50代会社員で4月からは自営業となります。体調に違和感があり、退職したら病院で診てもらおうと考えていましたが、知人から「それでは年金が減るかもしれない」と言われました。どういうことでしょうか。」という質問に、社会保険労務士の望月厚子氏が回答するという形のものである。
まず、「公的年金は定年退職後などの生活を支える「老齢年金」のほかに、公的年金へ加入中などに重い病気やケガに見舞われるリスクに対応する「障害年金」もある」とし、「障害年金の額は原因となる病気などについて初めて医師の診察を受けた日、「初診日」にどの公的年金に入っていたかで違いが生じる」ことを述べている。
そして、「初診日が会社員として厚生年金に加入している期間であれば、年金請求は退職後でも審査に通れば、障害厚生年金が障害基礎年金に上乗せされます。一方、退職して自営業となり、初診日が国民年金の加入者に変わった後だと障害基礎年金のみとなる」としている。
金額等については、「障害基礎年金の額は障害が最も重い1級は約98万円で、年齢条件などを満たす子がいれば約22万円などの加算があります。障害厚生年金は1級なら厚生年金の報酬比例部分の1.25倍となり、条件を満たす配偶者がいれば加給年金が加算されます。これが障害基礎年金と合計されるので支給額が増えます。障害厚生年金は障害が比較的軽い3級でも年金があるうえ、3級よりさらに軽い場合も一時金の制度があります。障害基礎年金は1.2級の年金のみですから、支給の可能性も広がります。」としている。
また、「障害年金の対象の病気などには、がんや認知症なども含まれます。それらの病名だけで障害認定されるわけではなく、国が定めた基準に該当する障害状態にあるかが審査されますが、一般に思われるより対象の幅は広いといえます。」とし、「障害年金の制度をきちんと知り、健康不安や自覚症状があるなら在職中の早い時期に診察を受けるほうが安心でしょう。」と結んでいる。
制度の概要については記事の通りであるが、より詳しくは、次で確認するとよい。
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/04.pdf
同じ障害年金でも、障害基礎年金と障害厚生年金とでは、保護の考え方に違いがある。障害基礎年金は、「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」(国民年金法第1条)にあるように、国民全体を保護するものであるが、障害厚生年金は、「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」(厚生年金保険法第1条)となっており、労働者(及びその遺族)を保護するものとなっている。
その違いの表れとして、障害厚生年金においては、記事にあるように、障害の程度が軽い「3級でも年金があるうえ、3級よりさらに軽い場合も一時金の制度」があるわけである。
ただ、1985年の基礎年金創設によって、厚生年金は基礎年金の上乗せの制度とされている。また、働き方の多様化により、労働契約の形をとらずに働いている人も増えている。公的年金において、「国民」と「労働者」とを、どのように区分して取り扱うのかは、今後の大きな課題と考えられる。
なお、障害年金受給者についての最新の資料は次で、情報公開の頻度には問題があると思われる。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/0000075345.pdf
質疑応答形式の記事で、「50代会社員で4月からは自営業となります。体調に違和感があり、退職したら病院で診てもらおうと考えていましたが、知人から「それでは年金が減るかもしれない」と言われました。どういうことでしょうか。」という質問に、社会保険労務士の望月厚子氏が回答するという形のものである。
まず、「公的年金は定年退職後などの生活を支える「老齢年金」のほかに、公的年金へ加入中などに重い病気やケガに見舞われるリスクに対応する「障害年金」もある」とし、「障害年金の額は原因となる病気などについて初めて医師の診察を受けた日、「初診日」にどの公的年金に入っていたかで違いが生じる」ことを述べている。
そして、「初診日が会社員として厚生年金に加入している期間であれば、年金請求は退職後でも審査に通れば、障害厚生年金が障害基礎年金に上乗せされます。一方、退職して自営業となり、初診日が国民年金の加入者に変わった後だと障害基礎年金のみとなる」としている。
金額等については、「障害基礎年金の額は障害が最も重い1級は約98万円で、年齢条件などを満たす子がいれば約22万円などの加算があります。障害厚生年金は1級なら厚生年金の報酬比例部分の1.25倍となり、条件を満たす配偶者がいれば加給年金が加算されます。これが障害基礎年金と合計されるので支給額が増えます。障害厚生年金は障害が比較的軽い3級でも年金があるうえ、3級よりさらに軽い場合も一時金の制度があります。障害基礎年金は1.2級の年金のみですから、支給の可能性も広がります。」としている。
また、「障害年金の対象の病気などには、がんや認知症なども含まれます。それらの病名だけで障害認定されるわけではなく、国が定めた基準に該当する障害状態にあるかが審査されますが、一般に思われるより対象の幅は広いといえます。」とし、「障害年金の制度をきちんと知り、健康不安や自覚症状があるなら在職中の早い時期に診察を受けるほうが安心でしょう。」と結んでいる。
制度の概要については記事の通りであるが、より詳しくは、次で確認するとよい。
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/04.pdf
同じ障害年金でも、障害基礎年金と障害厚生年金とでは、保護の考え方に違いがある。障害基礎年金は、「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」(国民年金法第1条)にあるように、国民全体を保護するものであるが、障害厚生年金は、「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」(厚生年金保険法第1条)となっており、労働者(及びその遺族)を保護するものとなっている。
その違いの表れとして、障害厚生年金においては、記事にあるように、障害の程度が軽い「3級でも年金があるうえ、3級よりさらに軽い場合も一時金の制度」があるわけである。
ただ、1985年の基礎年金創設によって、厚生年金は基礎年金の上乗せの制度とされている。また、働き方の多様化により、労働契約の形をとらずに働いている人も増えている。公的年金において、「国民」と「労働者」とを、どのように区分して取り扱うのかは、今後の大きな課題と考えられる。
なお、障害年金受給者についての最新の資料は次で、情報公開の頻度には問題があると思われる。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/0000075345.pdf
米国のコロナ・ショックに対する財政対応を、記事で見てみよう。
2020年3月18日 朝日夕刊1面 米、1兆ドル財政出動案 財務長官「米国人に直ちに小切手送付を検討」
2020年3月18日 日経夕刊1面 米、1兆ドル経済対策案 現金給付や給与税免除
2020年3月19日 朝日朝刊3面 米、財政出動1兆ドル検討 危機対応、リーマン規模
2020年3月19日 日経朝刊1面 米、1人1000ドル給付も 1兆ドル経済対策案 与野党、市場にらみ攻防
2020年3月19日 日経朝刊3面 米、短期決戦の巨額経済対策 「雇用維持が先」の声
2020年3月19日 日経夕刊1面 米、現金給付5000億ドル 経済対策案 企業支援にも5000億ドル
2020年3月21日 朝日朝刊4面 1人1200ドル給付 中小に3000億ドル 米、経済対策原案
2020年3月21日 日経朝刊3面 米、現金給付1人1200ドル 共和案
2020年3月24日 日経朝刊2面 米2兆ドル対策、協議難航 大統領選へ駆け引き
2020年3月26日 日経朝刊3面 米与野党、2兆ドル対策合意 過去最大 企業支援に9000億ドル
2020年3月28日 日経朝刊3面 米、企業・個人に安全網 2兆ドル経済対策成立へ
2020年3月28日 朝日夕刊6面 米、2兆ドル超対策成立 史上最大、経済下支え 新型コロナ
2020年3月28日 日経夕刊1面 米2兆ドル経済対策成立 新型コロナ 下院議長「追加策を検討」
2020年3月29日 朝日朝刊8面 2兆ドル超経済対策、成立 米国、史上最大の財政出動 新型コロナ
まず、3月18日の夕刊1面で、朝日・日経ともに、米トランプ政権と米議会が17日(現地)に「個人へ現金を直接配る措置を含め、1兆ドル(約107兆円)規模を視野に入れた大型の財政出動の検討に入った」ことを伝えている。
続く3月19日の報道では、「トランプ大統領は1人当たり1000ドルを目安に3月中にも現金給付する案を主張、給与税の減免も検討する」(日経朝刊1面)、「ムニューシン財務長官が「米国人に直ちに小切手を送ることを検討する」とし、2週間以内に給付したいとの意向を表明」(朝日朝刊3面)を伝えている。ただし、「野党・民主党には休業対策など雇用安全網の充実を求める声も強く、与野党協議では政策の優先順位が問われそうだ」(日経朝刊3面)とし、また、「野党・民主党は現金給付から高所得層を除外するよう求めており、対象や規模を巡って政権と与野党の調整が続いている」(日経夕刊1面)としている。
さらに、3月21日の報道では、共和党原案「年間所得7万5千ドル(約840万円)未満の米国民1人当たり1200ドルの現金給付」(朝日朝刊4面、日経朝刊3面)が報じられている。その後の報道では、「野党・民主党が企業の救済策に反対し、採決が遅れる可能性」(日経3月24日朝刊2面)が指摘されていたが、「トランプ米政権と与野党の議会指導部は25日未明に最終合意」(日経3月26日朝刊3面)と伝えられている。
そして3月28日には、「法案成立の見通し」(日経朝刊1面)から、法案成立(朝日夕刊6面、日経夕刊1面)の報道に到っている。
最後の朝日3月29日朝刊8面では、「米国で27日、史上最大規模の2兆ドル(約220兆円)超の経済対策が決まった」とし、「我が国への戦時レベルの投資だ」(共和党の上院トップ、マコネル院内総務)との認識の下で、経済対策として、「家族4人の平均的世帯当たり計3400ドルの給付や、雇用支援のための中小企業向け融資(予算規模約3500億ドル)、失業給付の拡充(2500億ドル)、航空産業などの産業支援(5千億ドル)などが柱」の対応が行われたとしている。
まさに、怒涛の10日間であるが、さすがに米国の決断は早いと思わざるを得ない。翻って我が国では、4月7日の緊急事態宣言後ですらも、自粛要請を求める施設の調整に手間取り、東京都による緊急事態措置の発表は4月10日にずれ込んだ。新型コロナは時間との闘いとされている中での時間の浪費であるが、国側には、施設に対する自粛要請は2週間後という意見が強かったそうだから、驚くというより呆然とする。この危機感のなさは、一体何なのだろう。有事立法とか、憲法を踏みにじる対応をしておきながら、最も肝心な国民の命を守るという責務への自覚が、まるで感じられない。
話を米国に戻すと、確かにスピーディな対応であるが、このコロナ・ショックでは、米国の現行制度の脆弱さが露呈している。一つは、言うまでもなく、公的医療の不備である。トランプ政権では、新型コロナ検査を無償としたが、感染していた場合、適切な医療が受けられる保証は、どこにもない。高額な民間保険に入っていなければどうにもならないし、入っていても治療費は高額にのぼるとされている。シカゴなどでは黒人の死亡率は白人の5倍とのことだが、これは医療アクセス格差を反映しているのであろう。
もう一つは、早急な現金給付が行われた裏側には、失業給付が貧弱な面があるようである。このことは、上記の記事の中でも、野党・民主党の「休業対策など雇用安全網の充実を求める声」にも現れている。この現金給付は、まるで「ベーシック・インカム」みたいとする論評があったが、その裏には、欧州と比べて貧弱な雇用安全網があるわけである。
最後に、所得制限について触れておきたい。「金持ちに配る必要があるのか」という反発は分かる。しかし、このような緊急対策では、何よりもスピード感が求められる。いちいち所得審査をしていたのでは、対応が遅れ、手遅れになりかねない。金持ちであろうと、住民登録を元に、一律の給付を行えばよいのでないか。そして、後で年間所得に対する課税で対応すればよいのではないか。日本でも所得制限の話があるが、馬鹿げている。バラマキだと声高に非難する人には、アホな事ばかり言っていないで知恵を出せ、と言いたいところである。
2020年3月18日 朝日夕刊1面 米、1兆ドル財政出動案 財務長官「米国人に直ちに小切手送付を検討」
2020年3月18日 日経夕刊1面 米、1兆ドル経済対策案 現金給付や給与税免除
2020年3月19日 朝日朝刊3面 米、財政出動1兆ドル検討 危機対応、リーマン規模
2020年3月19日 日経朝刊1面 米、1人1000ドル給付も 1兆ドル経済対策案 与野党、市場にらみ攻防
2020年3月19日 日経朝刊3面 米、短期決戦の巨額経済対策 「雇用維持が先」の声
2020年3月19日 日経夕刊1面 米、現金給付5000億ドル 経済対策案 企業支援にも5000億ドル
2020年3月21日 朝日朝刊4面 1人1200ドル給付 中小に3000億ドル 米、経済対策原案
2020年3月21日 日経朝刊3面 米、現金給付1人1200ドル 共和案
2020年3月24日 日経朝刊2面 米2兆ドル対策、協議難航 大統領選へ駆け引き
2020年3月26日 日経朝刊3面 米与野党、2兆ドル対策合意 過去最大 企業支援に9000億ドル
2020年3月28日 日経朝刊3面 米、企業・個人に安全網 2兆ドル経済対策成立へ
2020年3月28日 朝日夕刊6面 米、2兆ドル超対策成立 史上最大、経済下支え 新型コロナ
2020年3月28日 日経夕刊1面 米2兆ドル経済対策成立 新型コロナ 下院議長「追加策を検討」
2020年3月29日 朝日朝刊8面 2兆ドル超経済対策、成立 米国、史上最大の財政出動 新型コロナ
まず、3月18日の夕刊1面で、朝日・日経ともに、米トランプ政権と米議会が17日(現地)に「個人へ現金を直接配る措置を含め、1兆ドル(約107兆円)規模を視野に入れた大型の財政出動の検討に入った」ことを伝えている。
続く3月19日の報道では、「トランプ大統領は1人当たり1000ドルを目安に3月中にも現金給付する案を主張、給与税の減免も検討する」(日経朝刊1面)、「ムニューシン財務長官が「米国人に直ちに小切手を送ることを検討する」とし、2週間以内に給付したいとの意向を表明」(朝日朝刊3面)を伝えている。ただし、「野党・民主党には休業対策など雇用安全網の充実を求める声も強く、与野党協議では政策の優先順位が問われそうだ」(日経朝刊3面)とし、また、「野党・民主党は現金給付から高所得層を除外するよう求めており、対象や規模を巡って政権と与野党の調整が続いている」(日経夕刊1面)としている。
さらに、3月21日の報道では、共和党原案「年間所得7万5千ドル(約840万円)未満の米国民1人当たり1200ドルの現金給付」(朝日朝刊4面、日経朝刊3面)が報じられている。その後の報道では、「野党・民主党が企業の救済策に反対し、採決が遅れる可能性」(日経3月24日朝刊2面)が指摘されていたが、「トランプ米政権と与野党の議会指導部は25日未明に最終合意」(日経3月26日朝刊3面)と伝えられている。
そして3月28日には、「法案成立の見通し」(日経朝刊1面)から、法案成立(朝日夕刊6面、日経夕刊1面)の報道に到っている。
最後の朝日3月29日朝刊8面では、「米国で27日、史上最大規模の2兆ドル(約220兆円)超の経済対策が決まった」とし、「我が国への戦時レベルの投資だ」(共和党の上院トップ、マコネル院内総務)との認識の下で、経済対策として、「家族4人の平均的世帯当たり計3400ドルの給付や、雇用支援のための中小企業向け融資(予算規模約3500億ドル)、失業給付の拡充(2500億ドル)、航空産業などの産業支援(5千億ドル)などが柱」の対応が行われたとしている。
まさに、怒涛の10日間であるが、さすがに米国の決断は早いと思わざるを得ない。翻って我が国では、4月7日の緊急事態宣言後ですらも、自粛要請を求める施設の調整に手間取り、東京都による緊急事態措置の発表は4月10日にずれ込んだ。新型コロナは時間との闘いとされている中での時間の浪費であるが、国側には、施設に対する自粛要請は2週間後という意見が強かったそうだから、驚くというより呆然とする。この危機感のなさは、一体何なのだろう。有事立法とか、憲法を踏みにじる対応をしておきながら、最も肝心な国民の命を守るという責務への自覚が、まるで感じられない。
話を米国に戻すと、確かにスピーディな対応であるが、このコロナ・ショックでは、米国の現行制度の脆弱さが露呈している。一つは、言うまでもなく、公的医療の不備である。トランプ政権では、新型コロナ検査を無償としたが、感染していた場合、適切な医療が受けられる保証は、どこにもない。高額な民間保険に入っていなければどうにもならないし、入っていても治療費は高額にのぼるとされている。シカゴなどでは黒人の死亡率は白人の5倍とのことだが、これは医療アクセス格差を反映しているのであろう。
もう一つは、早急な現金給付が行われた裏側には、失業給付が貧弱な面があるようである。このことは、上記の記事の中でも、野党・民主党の「休業対策など雇用安全網の充実を求める声」にも現れている。この現金給付は、まるで「ベーシック・インカム」みたいとする論評があったが、その裏には、欧州と比べて貧弱な雇用安全網があるわけである。
最後に、所得制限について触れておきたい。「金持ちに配る必要があるのか」という反発は分かる。しかし、このような緊急対策では、何よりもスピード感が求められる。いちいち所得審査をしていたのでは、対応が遅れ、手遅れになりかねない。金持ちであろうと、住民登録を元に、一律の給付を行えばよいのでないか。そして、後で年間所得に対する課税で対応すればよいのではないか。日本でも所得制限の話があるが、馬鹿げている。バラマキだと声高に非難する人には、アホな事ばかり言っていないで知恵を出せ、と言いたいところである。
登録:
投稿 (Atom)