2020年3月14日土曜日

2020年3月14日 日経朝刊19面 加給年金 誤解多く もらい損ねや後日返還も

「厚生年金に20年以上加入した人(以下、夫の場合で説明)が原則65歳になったときに年下の配偶者(同、妻)がいれば年39万円の「加給年金」が加算される。年金版の「家族手当」と呼ばれる制度だ。妻が65歳になると加給年金は打ち切られ、代わりに妻の年金に「振替加算」がつく。しかし加給年金や振替加算の仕組みは非常に複雑で誤解も多い。もらい損ねや、逆に過払いに伴う返還義務も発生しやすい。」との記事である。
 この「誤解でよくあるのが加給年金は妻を持つ人だけがもらえるということ。実際には65歳未満の妻のほか、一定年齢までの子供がいれば受給可能だ。」とし、年齢差が大きいほど有利だ。」と説明している。「妻は事実婚も対象だが、子供は法律上の子であることが必要。」とのことである。
「対象者の有無は原則、本人が65歳になった時点で判断される」ので、「再婚する時期を迷っているなら65歳未満がお得」(社会保険労務士の内田健治氏)というコメントも掲載されている。
そして、「妻らには年収850万円未満(または経費を引いた所得655万5000円未満)という条件があり、妻の年収が850万円以上の人は加給年金の受給をあきらめがちだ。しかし、おおむね5年以内に退職などで850万円未満に減るのが確実な場合は例外。勤務先から就業規則などに関する証明書をもらい、年金事務所に出せば加給年金がもらえる可能性がある。」と言う。
ただし、「老齢年金の繰り下げ受給との関係は要注意だ。基礎年金も厚生年金も受給開始は原則65歳からだが現在、最高70歳まで開始を繰り下げられ、遅らせるほど増額になる。ただ加給年金は厚生年金とセットの仕組み。厚生年金を繰り下げると加給年金はもらえないままになる。加給年金を受けたい場合は基礎年金だけの繰り下げにするのも選択肢だ。」としている。
その上で、「要注意なのは妻が受給権を得るまでは夫に加給年金が出ること」で、「例えば夫が65歳になったとき妻が60歳で、妻の受給開始年齢が63歳であれば、3年間もらえる。」が、誤解が多いとしている。
一方で、「はもらいすぎ」のケースもあるとし、「妻の厚生年金加入が20年以上の場合、妻の受給権発生時点で夫の加給年金は原則打ち切りになる。これを知らずに受給停止の届け出をしないと払い続けられてしまい、その分は後に返還しなければならなくなる」とし,
「こうした過払いは年金事務所ごとに年に数件以上発覚し続けている」(関西地方の年金事務所長)とのことである。
一方、「振替加算」は、「金額は妻の生年月日で異なり、80代は年20万円弱もらえる人もいるが、若いほど減り最低は年約1万5000円。1966年4月以降に生まれた人に振替加算はない。」というもので、「年上の夫に加給年金がついていれば、妻の65歳時点で振替加算は自動的に出る」が、年上妻は、「夫が65歳になると妻は振替加算をもらえる」が「自動ではなく、夫が65歳になる時点で振替加算の請求をする必要がある」のである。また、「
妻が年下でも、基礎年金を繰り上げ受給し夫に加給年金がつく前に妻が年金をもらい始めている場合は、請求しないともらえないことがある。」という。
最後に、都内のある年金事務所の職員は「最近も80代女性で本来なら年20万円弱ある振替加算が十数年分漏れていたのがわかった。時効期間である5年分しか払えなかった」と語る。特に振替加算の金額が大きい高齢女性の場合、疑問があれば積極的に年金事務所に問い合わせることが大事だ、と付け加えている。

加給年金・振替加算の仕組みは、次の通りである。
非常に複雑で、社会保険事務所でも間違えて大きな問題になったことがある。
プロでも間違えるのだから、個人でチェックするのは難しくはあるが、個人の場合には、自分のケースだけを考えればよいのであるから、丹念に調べれば、中身を理解することができるであろう。年金は大事な自分の財産なのだから、知らないで済ませるような事は避けた方がよい。最低限、きちんと年金事務所で説明してもらう必要があるだろう。

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