2020年3月14日土曜日

2020年3月14日 日経朝刊9面 仏統一地方選 年金焦点に 改革強行、与党に反発強く

「フランス統一地方選が15日と22日に実施される。地方選ながらマクロン仏大統領が主導する年金改革が最大の焦点だ。マクロン氏はパリなど主要都市で勝ち、内政の安定や欧州連合(EU)の求心力維持につなげたい考えだ。だが、年金改革への反発で政権支持率は2~3割台と低迷しており、与党「共和国前進」は苦戦を強いられている。」という記事である。
「選挙では、市町村にあたる約3万5千の自治体の地方議員約50万人を選ぶ。任期は6年。原則、拘束名簿式比例代表制をとり15日の第1回投票で候補を絞る。22日の第2回投票で当選した議員のうち通常第1党から首長が選ばれる。共和国前進は新しい政党のため初めて統一地方選に臨む。地方基盤を持たず、大都市を中心に候補者約1万人を立てている。」とのことである。
争点として、「共通して関心が高いのが年金改革だ。政府は42種類ある年金制度を一本化する改革案を2月に国民議会(下院)に提出。野党が4万を超える修正案を出して対抗したことから3月、決議なしに下院を通すという強硬手段を使い、法案を上院に送った。」とのことであるが、「憲法が認めた手続きだが仏調査会社が5日発表した世論調査によると、強硬手段は認められないと考える有権者が7割に上った。選挙で与党に逆風に働くとみられる。」としている。
記事は、「新型コロナの感染拡大も不確定要因となっている。新型コロナの感染を恐れる高齢者の棄権で投票率が下がれば、若者の支持者が相対的に多い極右国民連合が勢いづく可能性がある。」と結んでいる。

年金が政治や選挙の争点となる状況は、世界各国で生じている。まず、フランスの年金制度について見てみよう。それについては、厚生労働省の資料に加え、公益財団法人の年金シニアプラン総合研究機構が、次のように整理している。
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/shogaikoku-france.pdf
https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/France2018.pdf
上記の資料では、年金改革の内容には、あまり触れていないが、次のJETROのサイトに概要が掲載されている。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/ba381238697d01bf.html
要点は、分立している制度の一本化であるが、少子高齢化がフランスでも進行していることからすると、当然の方向性に思える。しかし、それは既得権への挑戦にもなる。
それ故、大規模なストライキなどが行われているのであるが、そうした状況については、次のブログ「年金改革なんで反対してるの?フランスの年金について考える」が参考になるだろう。
https://mousouadvisor.com/reforme-des-retraites/
翻って、日本の状況を見ると、1985年の年金大改革で、分立していた制度が再編され、全国民共通の基礎年金と、被用者についての厚生年金(その後に共済年金も一元化)という非常にシンプルな体系になっている。課題が残ってはいるが、今後の少子高齢化の一層の進行に向けて、先人の行った大改革は、日本にとっての大きな拠り所となっているように思う。なお、この大改革の内容について知りたい方は、次を参照されたい。
http://www.ne.jp/asahi/kubonenkin/company/densi-nenkin-oni.pdf

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