2020年3月14日土曜日

2020年3月14日 朝日朝刊6面 ●新型コロナ、内定取り消し事例も 企業に防止要請 厚労省確認
2020年3月14日 日経朝刊5面 ●内定取り消し回避 要請 政府「最大限の経営努力を」

朝日の記事は、「加藤勝信厚生労働相は13日の閣議後会見で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて企業の採用内定取り消しが1件あったことを明らかにした。企業名などは明らかにしていないが、厚労省によると、製造業の企業に入社する予定だった今春に卒業する高校生1人だという。」というものである。
「各地のハローワークには企業から内定取り消しについての相談が複数寄せられているといい、ハローワーク側は休業補償の助成金を活用するなどして内定を取り消さないように助言している。」とのことであり、「厚労省はこの日、内閣官房や文部科学省、経済産業省と連名で、経団連などの経済団体に、新型コロナウイルスによる影響を理由に、今春採用予定の大学生や高校生の採用内定を取り消さないよう要請。内定取り消しを防ぐため、企業に「あらゆる手段を講じること」を求めた。」ということである。

一方の日経の記事は、「政府は13日、新型コロナウイルス感染拡大による影響で4月に入社予定の学生の内定取り消しを防ぐため、経済界に「最大限の経営努力」を要請した。就職活動中の学生には、エントリーシートの提出期限の延長やインターネットを活用した説明会・選考の実施などで配慮を求めた。感染拡大防止の観点から、企業説明会の中止が相次いでいることが背景にある。」としている。
さらに、「衛藤晟一・一億総活躍相は13日の閣議後会見で「学生がこれまでと異なる就職活動を強いられているのは事実。不安を覚えるのも無理はない」と指摘。「企業には特段の配慮をお願いしたい」と述べ、要請のため強制力はないものの、経済界に理解を求めた。」ことも紹介している。
次いで、「厚生労働省によると、政府は就職を控えた大学生が企業から内定を取り消されたケースを1件把握している。今後、感染症の影響が大きい観光業などを中心に、内定取り消しを検討する企業が相次ぐおそれがある。」とし、「政府は取り消しを防ぐための最大限の努力に加え、やむを得ず内定を取り消したり、入社時期を遅らせたりする場合には、対象者の就職先の確保や補償の要求に誠意を持って対応することを求めた。」としている。
一方、「現在の大学3年生に対しては採用面接の解禁を6月、内定を10月とする基本ルールは維持する。説明会の開催中止などで学生が十分な情報収集できない恐れが強まっているためエントリーシートの提出期限延長や積極的なウェブ説明会の開催で補うことを求めた。」と結んでいる。

とうとう恐れていた事態が、しかも早くやってきた。「内定取り消し」と聞いて、最初に思ったのは、もう来年春の内定が出ていて、それを取り消す事態が出てきたのか、と思っていたが、来月入社の話である。「内定」と言うが、学生からすれば、「確定」と思っていたことであろう。非常に深刻な事態と言える。
記事の要請書は、日経記事にもあるが、次の通りで、卒業・修了予定者等を、①2020年度、②2019年度に分けて要請している。
①2020年度卒業・修了予定者等について
 採用選考日程を後倒しにするなど柔軟な日程の設定や秋採用・通年採用などによる一層の募集機会の提供を行うとともに、その旨を積極的に情報発信すること 等
②2019年度卒業・修了予定者について
 内定取消しを防止するため、あらゆる手段を講じること。
 やむを得ない事情により採用内定の取消し又は採用時期の延期を行う場合には就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、補償等の要求には誠意を持って対応すること。

まさに、激震が走る内容である。今後も厳しい状況が想定される。ちなみに、前回の2008年のリーマン・ショックの際にも、内定取消が相次いだが、その時に、厚生労働省がまとめた資料は、次のようになっている。
一読すれば、深刻な状況が分かるであろう。事業所規模別では、従業員数300人以上での内定取消人数が多く、中堅以上の企業であっても、安心はできなかったことが分かる。

今、学生に求められるのは、ともかく就職できる企業・団体への準備を進めることである。
公務員志望の学生は急増するであろう。もともと志望であった学生は、試験などの準備に力を入れるとともに、民間での就職も考えるようにした方がよい。逆に、民間志望であった学生は、公務員についても視野に入れるべきであり、試験内容などの調査を急ぐべきである。
そして、内定段階に到った場合、間違っても簡単に断ったりしないことである。業界や企業の状況は、刻一刻と変化する。変化を十分に見定めてから断っても、決して遅くない。見方を変えれば、内定を取り消す企業は、ぎりぎりまで学生を確保しているわけである。ならば学生側も、ぎりぎりまで内定先を確保すべきであろう。

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