2020年1月22日水曜日

2020年1月22日 朝日 朝刊 7面 春闘一律賃上げ、経団連「適さぬ」 日本型雇用、変革求める
2020年1月23日 朝日 朝刊 6面 連合会長「格差是正に力」 「日本型雇用」見直しを批判 春闘

経団連が「21日、今春闘で経営側の指針となる経営労働政策特別委員会(経労委)報告を発表」したことを受けた記事である。

22日の記事では経営側の考え方を伝えており、「年功型賃金や新卒一括採用、終身雇用などの日本型雇用システムの見直し」を前面に掲げ、「欧米で主流とされ、年功ではなく仕事の内容で賃金が決まる「ジョブ型」との併用を呼びかけた」としている。

一方、23日の記事では、労働側の考え方として、連合の神津里季生会長が、22日の記者会見で、「大企業と中小企業、正社員と非正規社員の賃金格差の是正に力を入れる考えを示した」としている。また、「日本的な雇用の良い部分が毀損されてきたことが(格差が広がった)今日を招いている」と批判したそうである。

「春闘」は、「春季闘争」の略で、労働組合が毎年春に賃上げ要求を中心とする闘争のことであるが、かつては交通機関のストライキなどもあり、大きな影響力を持ったが、バブル崩壊後の経済低迷期には、賃金は上昇が抑えられ、春闘の意義が問われたこともあった。ここ数年は、年功を反映した定期昇給に加え、一時は死語のようになっていた賃金水準全体を底上げする「ベースアップ(ベア)」も行われるようになっているが、これには安倍政権の意向も大きく、「官製春闘」とも呼ばれていた。
今回は、賃金上昇に拘る連合に対して、経営側は「日本的雇用」の見直しを重要課題に掲げているわけだが、そうせざるを得ないほどに、労働市場が変容しており、「日本的」に拘ると世界的な潮流に取り残されるという思いがあるようである。
一方の連合は、「日本的雇用」を評価するような言い方をしているが、それは、既存の考え方に固執している感じで、今後の労働市場のあり方についての考察が欠けているように思われる。「格差の拡大」と非正規雇用の増大は、切り離すことができないが、かつての連合は、「日本的雇用」の中核である正社員を保護するために、経営側が進める非正規拡大を容認してきたし、その事を後に自己批判したはずである。今回のコメントには、その反省に立った考え方が窺われない。フリーランス的な働き方が増加している中で、労働組合は、どのように対応していけばいいのか。今や、労働組合にとっても、正念場であるはずなのだが。

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