2020年4月19日日曜日

2020年4月19日 日経朝刊31面 ●氷河期世代 45歳の再挑戦 時代恨まず、前を向いて
2020年4月20日 日経朝刊3面 ●氷河期世代 450人を採用 政府、3年間で

最初の記事は、就職氷河期時代を経験した方が、兵庫県宝塚市役所に採用されたことに関するものである。
「初めて就職活動をしたのは1998年。いわゆる就職氷河期だった。バブル経済が崩壊し、企業は一斉に採用を絞った。街には内定をもらえない学生があふれた。」中で、「大手志向でとりあえず受けた」のはメーカーや金融など約50社。1社から内定が出たものの、自分がそこで働く姿を想像できず、どうしても入社に踏み切れなかった、という。
そして、「翌年、改めて同じくらいの数を受けたが、今度は1社も内定がもらえない。2年をかけて何とかコンビニの正社員に採用され「やっと落ち着いて働ける」と安堵した。
だが、いざ働き始めると、想像もしない生活が待っていた。早朝、深夜問わず携帯電話が鳴り、担当の店舗に駆けつける。ノルマを達成するため、クリスマスケーキやお中元の商品を自分で大量に買うこともあった。」とし、「耐えきれずに退職し、契約社員などの職を転々とした。採用面接の途中で面接官が携帯で誰かと話し始めたことすらあった。結果はもちろん不採用。「まともに話すら聞いてもらえないのか」。就職難の時代を恨んだ。
その後、非正規の公務員職に就いたが、常に「来年もここで働けるのだろうか……」と不安に駆られた。レールに乗り損ねた境遇を恥じ、正社員の座を射止めた高校や大学時代の友人と連絡を取ることもなかった。」とのことである。
そんな中、「これに応募してみたら?」という妹の助言で、「宝塚市の就職氷河期世代対象の採用」(採用予定は3人程度)に応募し、「時代を恨んでも仕方がない。前向きに生きよう」という気持ちになって、「合格」したというものである。
記事は、「初めての就職活動から20年がたった。時間はかかったが「自分の働く姿が、同世代の人が再挑戦するきっかけになるかもしれない」。45歳、折り返し付近で新たな人生が始まった。」として結んでいる。

後の記事は、「政府は2020年度から3年間で、就職氷河期世代から450人以上を中途採用する方針だ。初年度は157人を募集し、11月29日に統一採用試験を実施する。政府は22年度までに国全体で氷河期世代の正規雇用者を30万人増やす目標を掲げており、自治体や企業でも同世代を採用する動きが広がってきている。」というものである。
対象は、「1966年4月2日から86年4月1日までに生まれた人。中央省庁での事務職員や刑務官、入国警備官などの職種で募集する。」とのことである。「氷河期世代はバブル崩壊後の就職難で安定した職に就けなかったり、引きこもりになったりしている人が多い。」のに対し、ようやくにして救済措置が検討されることとなったわけである。
しかし、「新型コロナウイルスの感染拡大で労働市場全体が冷え込めば、氷河期世代の採用拡大も進まなくなる恐れがある。」と記事は結んでいる。

就職氷河期の救済対象者は、上記の通り、「1966年4月2日から86年4月1日までに生まれた人」ということである。その人達が、大学を22歳で卒業した年ということで見ると、1988年から2008年と幅広くなるが、この間には、二つの就職氷河期がある。
一つは、20世紀末のバブル崩壊であるが、1989年12月29日の大納会で、日経平均が終値の最高値38,915円87銭を付けた後に、失われた10年とも20年とも言われる長い経済の低迷期に入った時期である。最初の記事の方が、1988年(あるいは思い違いで1989年かも)に就活を行ったとすると、バブル崩壊の直前ということになる。恐らくは、それまでのバブル景気の中での先輩の就活などを踏まえての「大手志向」だったのだろうが、それが災いして内定1社だったのだろう。ところが、それも蹴ってしまう。翌1989年の就活が非常に厳しくなったのは当然で、山一證券や長期信用銀行といった大手金融機関すら破綻した時期である。
もう一つは、米国で住宅融資に関わるサブ・プライムローン債権の破綻によるリーマン・ショックである。これは2007年に発生したもので、その影響が2008年以降にも続いたわけである。
さて、今回のコロナ・ショックの影響は、どうだろうか。当初は、リーマン・ショックほどではないと言っていた経済評論家もいたが、そんな声は消え失せた。今は、バブル崩壊時ほどではないという声もあるが、経済指標では、過去最低の状況にある。
学生にとっては、振り返って、どの程度の衝撃だったかは、どうでもよいことであろう。喫緊の関心事は、就活がどうなるのか、であろう。ここでも、バブル崩壊後に採用を抑え過ぎて苦労した企業は、その轍を踏まないのではないかとか、自粛が解除されたら、経済活動は急激に活発になるはずで、人手不足になる可能性がある、といった楽観的予想もある。
だが、そうならなかったら、どうするのか。そうなったとしても、時期がずれたら、というような事を、就活を行う学生は、真っ先に考えるべきである。内定が得られた場合には、どんな会社であっても、最後の最後まで手放してはならない。過去の経験からして、現在雇用されている従業員すら雇用不安に怯えている状況の中、新卒採用の優先度が高まるはずはない。
ともかくも内定を確保した上で、今後伸びていく業界を考えるとすれば、第4次産業革命を牽引するIT業界ということになろうが、誰もが同じ事を考えるはずだし、要求される知識や技能のレベルは高い。それでも、どんな業界・企業に入ろうとも、IT知識は必須になるから、昨年度までの学生が経験していないオンライン講義の経験などは、貴重である。結局、講義に身を入れることが、自分を守る近道ということになるのではないか。
2020年4月19日 朝日朝刊23面 ●大学封鎖、逆境の春 学生「学費減額して」/就活ほぼストップ

「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの大学が校内への立ち入りを禁じている。自宅待機を余儀なくされ、就職活動も中断するなど学生たちの日常は一変した。大学側は外出自粛の長期化を見すえ、授業のオンライン化などの対応に追われている。」という記事である。各大学の状況が報じられ、就活にも大きな影響が出てきているとしている。
一方で、「オンライン授業を準備する大学が増えている。4月10日時点の文部科学省の調査によると、全国の大学(短大を含む)の48%が「遠隔授業を実施する」と回答。「検討中」も36%あった。」とし、東京大や法政大、パソコンやポータブルWiFiを貸し出している国際基督教大の例が紹介されている。
これに対し、「文科省も対応を急ぐ。3月下旬、省令で定める授業のルールの弾力化を各大学に通知し、対面授業ができない場合、同時双方向型授業のほか、オンラインでの質疑応答の機会があればリポート提出などによる代用を認めた。卒業に必要な124単位のうち60単位まで、となっているオンライン授業の上限を見直す用意もあるとした。」とのことである。
「ただ、都内の大学教員は教え子の学生について「スマートフォンは必需品でも、パソコンやタブレット端末はほぼ持っていない」。多くの学生がリポート作成などを大学のパソコン室でやっているという。「急ごしらえの対策で対応しきれるのか」」との声も紹介されている。「学生の通信料金負担の軽減枠の拡大を求める声」や「ネット上では学費の一部返還を求める署名活動も始まった」とのことである。

今回のコロナ・ショックで、世界各国に比して、日本が大きく遅れていることが明らかになった点が2つある。一つは、PCR検査で、SURSやMURSの危機に襲われた韓国などに比べると、日本の感染症対策の状況は著しく遅れている。自衛隊の救護活動で二次感染が生じていないことが称賛されているが、それは、細菌戦への備え故であろう。
そして、もう一つがIT活用の遅れである。オンライン教育も惨憺たる状況であるが、企業でのテレワークなども、十分な対応ができていない状況であることが明るみに出た。海外からは、何せ、サイバーセキュリティ担当の桜田義孝元大臣が、「パソコンは使わない」(実際は、「使えない」だろう)と公言しているくらいだから、と冷笑されているのであろう。
だが、とても笑いごとではないのは、大学教員の中には、オンライン講義に対応できていない人は少なくなく、大わらわで、基礎的な操作方法の講習をしているような有様であることである。
大学でも、企業でも、さらには個人でも、対面が大事というような牧歌的というか時代遅れの状況には、もはや戻れない。コロナ・ショックで、IT技術を核とする第4次産業革命は、世界中を席捲している。遅ればせながら、わが日本においてすら、である。

2020年4月16日木曜日

2020年4月15日 日経夕刊6面 年金繰り下げ 利用の注意点 長生き妻「基礎のみ」お薦め

この「家計のギモン」というコラムは、「年金をもらい始める時期を遅らせると受取額が増えると聞きました。近く75歳まで可能になるようですが、制度を利用する際の注意点を教えてください。」という質問に、社会保険労務士の森本幸人氏が答えているものである。
氏の説明は、まず、「老齢年金の受給開始は原則65歳ですが、希望すれば60~70歳の好きな時期からもらい始めることができます。66歳以降に遅らせることを「繰り下げ」受給といい、1カ月遅らせるごとに年金額は0.7%増えます。単純計算すると70歳からでは65歳からより金額が42%増えます。この間の年金はゼロですが、それをしのげば増えた年金額を終身でもらうことができます。」という基本からである。
そして、「国は繰り下げの上限を75歳まで延ばす方針です。国会で法案が成立すれば、2022年4月から可能になります。75歳からもらい始めると、65歳からより金額が84%増える計算です。」とし、「繰り下げを選ぶのが得かは、どれほど長生きするかによります。」「繰り下げは男性より長生きする確率が高い女性に向いた制度といえます。」としている。
ただし、「注意したいのは、妻の老齢厚生年金が夫が亡くなった後にもらう遺族厚生年金(通常は夫の老齢厚生年金の4分の3)より少ないケースで、よくある事例です。この場合、遺族厚生年金は妻の老齢厚生年金を差し引いた額しか支給されません。妻が自分の老齢厚生年金を繰り下げて増額しても、遺族厚生年金との合計額では変わらないことになります。」ということで、「老齢厚生年金と老齢基礎年金(国民年金)は別々に繰り下げることができ、後者は繰り下げして増額しても遺族厚生年金が減ることはありません。遺族厚生年金との合計で考えると、女性は老齢基礎年金だけ繰り下げるのがお薦めといえます。」と結んでいる。

森本氏の説明は、専門家として過不足がないが、質問者は、自分でちゃんと確認する必要があるだろう。法改正前の現在の制度については、次が参考になるであろう。
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000026998.pdf
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000004_0000000099.pdf
少し分かりにくく思うかもしれないが、自分自身の年金のことなのだから、森本氏の回答ともども、よく読みこんだ上で、最寄りの年金事務所で確認するとよい。
相談窓口は、次のようになっている。
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html
https://www.nenkin.go.jp/section/tel/index.html
ただし、年金事務所は混み合うことが多いから、上記の予約相談にするか、下記の「ねんきんネット」の利用が、オススメである。大事な自分の年金なら、自分で確認する労をいとわないようにすべきである。
https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html

2020年4月14日火曜日

2020年4月14日 日経夕刊2面 ●(就活のリアル)コロナで企業の採用は 決して氷河期ではない

就活理論編担当の雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏による解説である。
「就活をめぐる風景が、ここ1~2カ月で一変した。言うまでもないが、コロナウイルス禍によるものだ」とし、「就活生、その親、そして大学関係者はあまりの急変に面食らっているのではないか。以下、本年の就活がどのようなものになっていくかを、ざっと話していきたい。」というものである。
その上で、「新卒採用というのは、企業にとってかなり大きな経営事項の一つだ。だから採用人数やそれにかかる予算、プロセス設計などは相当早くから決めている」が、今回のコロナウイルス禍が「重大なものだと本気になって認識したのは、1月20日に中国の習近平主席から公式な発表があってからだろう」とし、「抜本的な採用削減までは踏み込めない企業が多いと読む。各所に調整して採用計画を大幅に見直しができないからだ」と言う。
結論として、「採用数は減少するが、激減とまではいかないだろう。それはすなわち、今までのバブル的な採用売り手市場が終わっただけで、決して氷河期ではない。普通に戻るだけだと思っている。」としているのである。

海老原氏の考察には含蓄があり、「なるほど」と思うことが多いが、今回については、見立て違いであろう。コロナ・ショックの衝撃は、もはやリーマン・ショックの比ではなく、就職氷河期に突入するのは、まず間違いないと思う。
氏の考察の論拠は、日本企業の採用計画の硬直性ということであるが、平時ならばともかく、この非常時に採用計画を見直さない企業は、まずあり得ない。今春に入社予定であった人についてさえ、内定取消や自宅待機が続発している状況である。
また、日本企業の行動の中に、「横並び」がある。本来、企業の採用計画は、自社の業務遂行上の必要性を最優先して決定すべきものであるが、常に他社の動向を窺っているのが、日本企業の体質である。コロナ・ショックによって業績急降下の業界や企業からは、当然に、採用計画の大幅見直しが出て来るであろう。そのことは、必ず他社にも飛び火する。これは、オイル・ショックやリーマン・ショックの際にも発生した歴史的状況であり、今回が例外である兆しは窺われない。こうした風土は、トイレットペーパーの買い占め騒動に見られるような日本人気質にも根差している面があるように思われる。
そもそも「空前の人手不足」ということで発生していた昨年度までの売り手市場にも、同様の横並び意識が関わっていたものと思われる。海老原氏は、この記事でも言及している下記の4ケ月前の記事で「遠からず不況が来る可能性がある」と警告し、その通りになったわけだが、氏の見立てが今回は違っていると思うのは、氏の想定していた「不況」が経済サイクルの循環の中のものであったのに対し、今回のコロナ・ショックは、それこそ百年に1回程度の「大恐慌」に当たるものである点である。これを、各国首脳は、「戦争」とまで表現し、安倍首相も「第三次世界大戦」と述べたという。
https://kubonenkin.blogspot.com/2020/01/20200128NY02.html
就活に臨む学生は、絶対に油断してはならない。世界中の万人にとって、このコロナ・ショックは、未曾有の危機なのである。

2020年4月10日金曜日

2020年4月10日 朝日朝刊23面 ●内定者、パワハラで自死 パナ子会社、「行き過ぎ」認める

「就職内定先の人事課長からパワーハラスメントを受け、大学4年の男子学生(22)が入社2カ月前にみずから命を絶ったと、遺族の代理人弁護士らが9日に記者会見して公表した。人事課長は配属への決定権をちらつかせながら、内定者のSNS交流サイトに毎日書き込むように強要するなどしていたという。」との記事である。会社側も取材に「行き過ぎた行為があった」と認めた、という。
記事では、「男子学生は2019年2月に死亡。パナソニックの完全子会社「パナソニック産機システムズ」(東京)から新卒採用の内定を得ていた。同社では研修の一環として、SNS交流サイトに内定者20人を全員登録させていた。人事課長(当時)は、毎日ログインして投稿にコメントすることなどを求めたという。」としている。
「人事課長は18年7月ごろから、SNSに「書き込まない人は去ってもらいます」などと、内定者を精神的に追い込むような言葉を投稿するようになった。「邪魔です」などと内定辞退に言及したり、入社後の過重労働を示唆したりしていた。」ということで、「弁護士らは会社側の協力を得て約1年にわたり調査をした結果、課長のハラスメント行為で精神疾患を発症し、自殺につながったとみている。会社に損害賠償を求めるという。」と記事はしている。
ところが、「入社内定者が就職予定の企業からパワーハラスメントを受けても、現状では労災保険の対象外」なのである。「6月からまず大企業に職場でのパワハラ対応を義務づける「パワハラ防止法」の付帯決議では、就職活動中の学生などへのハラスメント対策も求めている」とううことではあるが。
これに対し、「パナソニック産機システムズは、「採用担当者により、行き過ぎた指導が行われていたことは事実。男子学生の自殺の動機についても一部責任がある」と認めた。再発防止に向けて昨年8月に「社内風土改善推進室」をつくり、内定者が相談できるハラスメント相談窓口を新設したという。」と記事は結んでいる。

パナソニック産機システムズのホームページは、次の通りである。
会社概要によれば、設立は2009年4月1日、資本金は301百万円で、社員数は約1,600名で、事業内容は、業務用設備機器・システムの販売・施工・サービスとのことで、アジア11ケ国に海外関連会社がある。
立派な大手企業であり、「私たちの仕事の考え方」として、次のように述べている。
「私たちはパナソニックグループにおける業務用設備機器・システムの直販・サービス・エンジニアリング会社です。お客様とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築き、本当にお客様が必要としているものは何かを一緒に考え 3つのソリューションによって永続的に価値を提供し続けてまいります。」
これだけの企業が、何故に、このような愚劣な人事課長を野放しにしていたのか。内定を得た時には、亡くなった学生ご本人もご家族も、大いに喜んだであろう。まさか、こんな事になろうとは誰も思わなかったであろう。
だが、大手企業といえども、問題のある企業は、少なくない。就活においても、セクハラや、この例のようなパワハラは、まれな事とは言い切れないのが現状である。内定段階で、ここまでのパワハラは珍しいように思うが、入社後に、それまでとは打って変わって態度を急変する企業は、少なからずあると思われる。その事は、折角入社した新入社員が、3年以内に3割退社するという状況にも現れている。
SNSを強制登録させ、強制記入まで強いていたというのは、まさしく人権侵害であり、決して許されるものではない。内定を得た学生からすれば、できるだけスムーズかつ穏便に会社と馴染んでいこうとするのであろうが、これは、そうした気持ちも織り込んだ上での卑劣な犯罪的行為である。
こうした行為に対しては、どのように対応すればいいのであろうか。まず、絶対に自分だけで抱えこまないことである。記事では、友人に「きつい」「死にたい」と話していたということだが、直ちに行うべきことは、本人でも友人でも、大学の就職指導課に相談することである。親にも相談すると良いが、古い体験の親世代だと、「会社に入ればいろいろあるから、多少の事は我慢した方がよい」などと思う可能性もある。一番効果的なのは、大学の就職指導課への相談を経て、管轄の労働基準局に通報することである。
同じ境遇にあった内定学生は、20人という。仲間の自殺は、彼らにも暗い影をもたらしたことであろう。「邪魔です」といった罵詈雑言に従って何人かの学生が辞退し、会社に通報していれば、この人事課長は処分されていたかもしれない。もっとも、この程度の人物を人事課長にしていることからすると、会社の体質なのかもしれないが。
生きるために会社に入って働くのである。それを妨げる会社と折り合いを付けようとしても、ろくなことにはならないだろう。

2020年4月7日火曜日

2020年4月7日 日経夕刊2面 ●(就活のリアル) エントリー先どう増やす 上田晶美
2020年4月7日 日経朝刊14面 ●来春大卒内定、8ポイント上昇 4月34%民間調べ 早期選考影響か

最初の夕刊の記事は、ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表による就活実務編で、「エントリー数を増やすことは必要だと思うのですが、どうやって増やせばいいのかがわかりません」という質問に対して、「私がお勧めしたいのは、今エントリーしている会社のライバル会社にエントリーしてみようというものだ。」というものである。
しごく普通の考え方だが、「こう言うと素直な学生は驚く」というのだから驚く。それは、学生の選択基準が、「大学の説明会に来てくれた中から、いいなと思った会社にエントリーした」ということだからだそうである。
就活でまず大事なのは、どんな仕事をしたいのかを考えることである。例えば、金融機関に興味があるのなら、そこでの仕事がどのようなものなのか、まず業界研究を行う必要がある。その上で、その業界のいくつかの企業にエントリーするわけだから、その時点では、「ライバル企業」もへったくれもない。エントリーシートが通過して初めて、その企業の関係者と接触し、企業風土を知ることになるわけである。
「いいなと思った会社」ということで、仕事内容もチェックしないような就活なら、失礼ながら失敗は目に見えている。なので、「同業他社と比較検討するため」にも、同じ業界の他社にエントリーすべきとの上田氏のアドバイスは正しく、そうすれば業界共通のところは出来ているわけだから、エントリーシートの作成の手間も省けよう。

ところで、次の朝刊の方の記事は、「大手就職情報会社のディスコ(東京・文京)は6日、2021年春に卒業予定の学生の内定率が4月1日時点で34.7%だったと発表した」というものである。「前年同月を8.3ポイント上回った。インターンシップ(就業体験)に参加した学生への早期選考が内定率を押し上げたようだ。」としている。
コロナ・ショックの中、驚きの結果だが、「調査は同社の就職情報サイトに登録する大学生と大学院生を対象に4月1~5日にインターネットで実施。1299人から回答を得た。」ということで、サンプル数は非常に少ない。その発表内容は、次の通りである。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/21gaku_soku04.pdf
「内定を獲得した学生のうち、就職先を決めて就活を終了したのは全体の1割程度」とのことであるが、非常に危険である。現在、コロナ・ショックで、企業の業績や採用姿勢には、不透明な点が多い。「大半は内定を持ちながら就活を継続している」というのは賢明だし、また、大手企業の採用活動が本格化するのはこれからであるから、当然でもある。
本格的な就活はこれからなのだから、学生にとっては、焦ることなく、気を引き締めて活動に臨むことが必要であろう。

2020年4月2日木曜日

2020年4月2日 日経朝刊5面 GPIFの損失額最大 1~3月、新型コロナ直撃 外国資産比率上げ 振れ幅一段と
2020年4月4日 朝日朝刊7面 年金運用、17兆円超赤字 1~3月期、株安で

2020年3月25日 日経朝刊5面 GPIF理事長に農中出身・宮園氏 市場対応・組織立て直し課題
2020年4月5日 日経朝刊6面 GPIF理事長 宮園雅敬氏 年金制度 安定へかじ取り

最初の日経の記事は、「新型コロナウイルスによる株式市場の乱高下が公的年金の運用を揺さぶっている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年1~3月の運用実績は、損失額が四半期として最大に膨らむ見通し。GPIFは14年から株式の運用比率を高め、1日からは運用資産に占める外国債券の目標比率を引き上げた。相場の影響を受けやすい面が出ている。」というものである。
「GPIFは1日、最高投資責任者(CIO)に米ゴールドマン・サックス出身の植田栄治氏(52)を充てる人事を正式に発表した。理事長には元企業年金連合会理事長の宮園雅敬氏が同日付で就任しており、逆風下、新体制で運用のかじ取りを担う。」としている。
「GPIFは19年4~12月に9兆4241億円の収益を上げている。ただ、1~3月に生じた損失で19年度の運用実績は8兆6000億円程度の赤字となったもよう。通年で運用損益が赤字になるのは4年ぶりだ。」とのことである。
なお、「日銀のマイナス金利政策で日本国債の利回りが低迷する中、GPIFは3月31日、運用資産に占める外国債券の比率を従来の15%から25%に引き上げた。一方国内債は35%から25%に減らし、これまで40%だった外国資産は50%に増やした。」が、「ただ海外資産の増加で、為替相場などの変動が運用資産に与える短期的な影響は大きく、振れ幅も大きくなりやすい。」としている。その上で、「国債などの安全資産に資金を振り向けるべきだとの声もある。だが、全資産を日本国債で運用すると、60年代には積立金が枯渇し、高齢者の年金給付に支障が出る。」としている。

次の朝日の記事も、基本的には同じ内容であるが、日経記事が、野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストの試算によるものであるのに対し、「今年1~3月期の運用成績が17兆円を超える赤字になるとの試算を厚生労働省がまとめた」という点に違いがある。「四半期ベースでは過去最大の赤字幅で、2019年度全体では約8兆円の赤字になる見通しだ。14年に株式の運用比率を引き上げたことで、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な株安の影響をもろに受けた。」としている。
「GPIFは14年から年金資産に占める株式の運用比率を計5割に増やしており、株安の影響を受けやすくなっている。高橋則広・前理事長は3月31日の記者会見で「あくまで狙いは長期的なリターン。評価損益が下がっても年金給付に影響は全くない」と述べた。ただ、厳しい運用環境が続けば、将来の年金水準に響く可能性がある。各年度の運用成績の公表は例年7月だが、GPIFは公表前倒しも検討している。」と結んでいる。

一方、このような状況の中、最初の日経記事にもあるように、GPIFの体制変更が行われている。3月25日の日経記事では、「女性職員との特別な関係を疑われかねない行為があったとの内部通報に適切に対応しなかった」として「高橋理事長に懲戒処分」が出たことで、農中出身の宮園氏が選ばれたとしているが、「農中で人事部長や総合企画部長などを歴任」した経験に、組織統治の強化を託すことになる、としている。その上で、「揺れる組織を立て直し、荒れる相場に機動的に対応することがまずは求められる。」と結んでいる。また、4月1日就任後の5日付日経記事では、「100年先まで見据えた年金制度の安定をどう維持するか。かじ取りの一翼を担う「100年の航海」が始まる。」とし、「2019年に企業年金連合会の理事長に就いたばかりで、当初は就任の要請を固辞したという。それでも「年金の世界に身を投じたのだから内部異動のようなものだ」と周囲に語り、就任を決めた。」とし、人となりを紹介している。

まず、4月4日付朝日の厚生労働省試算であるが、検索してみたものの、確認することができなかった。「試算」ということで、次の公式発表にも含まれていない。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/tsumitate/index.html
それでも、大幅なマイナスであることは確実であろう。
一方、GPIFの体制変更は、次のようになっている。
https://www.gpif.go.jp/topics/personnel_0401.pdf
理事長に加え、理事2名が退任ということで、大幅な変更になっているが、その背景にとして、次のような陰謀説まで囁かれているようである。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191122-00151972/
真偽はともかく、何ともやりきれない話だが、巨額のカネがある所では、スキャンダルの芽は尽きない。国民の老後のための大事な資金を扱っているということだけは、忘れないようにしてもらいたいものである。