2020年4月16日木曜日

2020年4月15日 日経夕刊6面 年金繰り下げ 利用の注意点 長生き妻「基礎のみ」お薦め

この「家計のギモン」というコラムは、「年金をもらい始める時期を遅らせると受取額が増えると聞きました。近く75歳まで可能になるようですが、制度を利用する際の注意点を教えてください。」という質問に、社会保険労務士の森本幸人氏が答えているものである。
氏の説明は、まず、「老齢年金の受給開始は原則65歳ですが、希望すれば60~70歳の好きな時期からもらい始めることができます。66歳以降に遅らせることを「繰り下げ」受給といい、1カ月遅らせるごとに年金額は0.7%増えます。単純計算すると70歳からでは65歳からより金額が42%増えます。この間の年金はゼロですが、それをしのげば増えた年金額を終身でもらうことができます。」という基本からである。
そして、「国は繰り下げの上限を75歳まで延ばす方針です。国会で法案が成立すれば、2022年4月から可能になります。75歳からもらい始めると、65歳からより金額が84%増える計算です。」とし、「繰り下げを選ぶのが得かは、どれほど長生きするかによります。」「繰り下げは男性より長生きする確率が高い女性に向いた制度といえます。」としている。
ただし、「注意したいのは、妻の老齢厚生年金が夫が亡くなった後にもらう遺族厚生年金(通常は夫の老齢厚生年金の4分の3)より少ないケースで、よくある事例です。この場合、遺族厚生年金は妻の老齢厚生年金を差し引いた額しか支給されません。妻が自分の老齢厚生年金を繰り下げて増額しても、遺族厚生年金との合計額では変わらないことになります。」ということで、「老齢厚生年金と老齢基礎年金(国民年金)は別々に繰り下げることができ、後者は繰り下げして増額しても遺族厚生年金が減ることはありません。遺族厚生年金との合計で考えると、女性は老齢基礎年金だけ繰り下げるのがお薦めといえます。」と結んでいる。

森本氏の説明は、専門家として過不足がないが、質問者は、自分でちゃんと確認する必要があるだろう。法改正前の現在の制度については、次が参考になるであろう。
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000026998.pdf
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000004_0000000099.pdf
少し分かりにくく思うかもしれないが、自分自身の年金のことなのだから、森本氏の回答ともども、よく読みこんだ上で、最寄りの年金事務所で確認するとよい。
相談窓口は、次のようになっている。
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html
https://www.nenkin.go.jp/section/tel/index.html
ただし、年金事務所は混み合うことが多いから、上記の予約相談にするか、下記の「ねんきんネット」の利用が、オススメである。大事な自分の年金なら、自分で確認する労をいとわないようにすべきである。
https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html

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