2020年1月7日火曜日

2020年1月7日 日経夕刊2面(就活のリアル)インターン時期ごとの目的 夏落ちても冬に受けて

この就活コラムは、二人の専門家が担当している。一人jは、ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表で、主として、実務的な事について論じている。
この回では、「夏のインターンシップ」と「冬のワンデーインターンシップ」について述べて、「企業にとって位置づけが違う場合が多い」としている。
「夏の3日以上のインターンシップは…優秀層の取り込みをねらっている企業が多い」とし、「本選考よりも激戦であり、難関と言われるくらい」としている。一方、「(冬の)ワンデーインターンシップは実質の会社説明会であり、企業の目的は広く採用のための母集団を形成するもの」としている。
こうした違いから、夏落ちても、冬のインターンを遠慮なく受ければいいと言うのである。

内容については、その通りだが、そもそも企業がインターンに血道を上げ、学生の学業にも支障をきたしている状況は、いただけない。特に、冬のワンデーインターンは、単なる顔合わせの意味しかなく、何のためにやっているのか首をひねらざるを得ない。恐らく、一番大きな理由は、他社もやっているから、ということだろう。「新卒一括採用」には問題があるとしながら、こうした「横並び体質」が日本の企業の実態である。
さらに、夏のインターンも、数日程度で、インターン生の資質を見極めることなど、できるとは思えない。海外のインターンは、もっと実務に徹しているようだが、日本のインターンは、お客様扱いのきらいもあると聞く。
それでも、就活に悩む学生にとっては、他の学生に遅れまいとすることになるだろう。だが、その結果の新入社員は、3年で3割退職するとも言われている。罪作りな話で、日本の人事管理のお粗末さを示すものである。

2020年1月5日日曜日

202015 日経朝刊31面 1964→2020 貧困今もそばに ひとり親支援なお足りず

この記事は、まず、「前回東京五輪から2年後の1966年」に、厚生省(現厚生労働省)の低消費水準世帯(消費水準が生活保護世帯の平均を下回る層)の調査打ち切り」が行われた事実から始まっている。そして、この高度成長期に消えた調査に代えて、「政府は2009年、標準的所得の半分未満で暮らす「相対的貧困」の割合(06年時点)を初めて公表した。その率15.7%、約6人に1人。」事態を報じている。
「2015年のひとり親世帯の相対的貧困率は、実に50.8%に達する。」という状況であり、「2020年の今、貧困の問題はどこか遠くではなく、私たちのすぐそばにある。」と結んでいる。

マザーテレサは、来日の際、日本人を「豊かな国の心貧しき人々」と評した。そう言われても仕方のない貧困の現実が、日本にはある。少子化が進み、「子どもは社会の宝」と位置付けられるべき状況の中で、子供の貧困は深刻で、虐待も後を絶たない。社会的連帯、世代内・世代間の助け合いの意識、年金制度を支えるのは、まさに、その点であるのだが、日本の未来に希望は持てるのだろうか。

2020年1月4日土曜日

202014  日経朝刊15面  年金改革、増える選択肢 受給額、物価ほど増えず

この記事は、「公的年金制度の改正案が1月から始まる予定の通常国会に提出され、成立に向けて動き出す。現役世代は、何が変わり何が変わらないかを知り、今後の生活設計に生かしたい。」という趣旨のものである。改正案の「最重要項目は短時間労働者への厚生年金の適用拡大」で、「受給開始時期の選択肢拡大」も盛り込まれた、としている。また、65歳未満の「在職老齢年金制度」と、「在職定時改定」にも言及している。
さらに、「標準報酬月額」の上限引き上げ(月額65万円)についても触れ、最後に、「賃金・物価の伸びを基にした本来の年金改定率から、現役世代の人数や平均余命の伸びを勘案したスライド調整率が差し引かれる」マクロ経済スライドにより、「2020年以降も年金はさほど増えないことを念頭に、生活設計するのがよいだろう。」と結んでいる。

公的年金制度の改正動向について、要領良くまとめている記事である。そうした改正の経緯については、社会保障審議会年金部会などの資料を参照する必要があるが、公的年金は、負担を担う現役にとっても、給付を受ける受給者にとっても、大きな影響があるから、常にチェックしておく必要があるだろう。
202014  日経朝刊2面 (社説)次代拓く人材を() 産業構造の変化捉えた高等教育に

この社説は、「経済産業省は、AIの技術競争に必要な人材が10年後に数十万人不足すると予測。高等教育機関は、産業構造の変化に応える課題解決型の教育・研究にカジを切る時だ。」とするものである。「大学とは違い、ものづくりの実践的な技術を習得する高等専門学校(高専)」に言及しているが、「高専の多くは地方都市にあり、学生は必ずしも偏差値エリートではない。」とする一方で、「大都市圏の富裕層の子どもほど高学歴で、将来の収入や職業選択で有利な傾向が読み取れる。」としている。、

この「将来の収入や職業選択で有利な傾向」とは何なのか。ここには、「有名大学→有名企業→高収入で安定」という構図が見てとれる。前段で、さんざん大きな変化に言及していたのに、である。
そもそも、文系・理系という区分まかり通っている現状がおかしい。理系の大学で博士号を取得しても、日本の企業は適正に評価していない。大学を牛耳る文部科学省の幹部は、文系出身で、科学の何たるかを理解しているようには思えない。いや、文部科学省のみならず、他の官庁の幹部も文系出身で、政治家にも、理系出身は少ない。
文系か理系かは、数学ができるかどうかで決まり、理系の最優秀層は、収入と地位が高い医者を目指す、そんな時代は、今も終わりを告げたようには思えない。
日本では、スペシャリストとジェネラリストという区分もまかり通ってきた。前者は、「専門バカ」と言われることもあり、企業内で適切に評価されていないのは、博士と同じである。
企業経営でも、スペシャリストが必要となっていることが、日本では十分に理解されているようには思えない。一言でいえば、「プロ」の時代なのであり、そのことを心底感じられなければ、高等教育も変わるまいし、期待しても無駄だろう。



2020年1月3日金曜日

202013  日経朝刊1  「逆境の資本主義」(2)働き方縛る もの作りの残像 労働の「賞味期限」長く


この記事は、ケインズが「2030年までに経済問題が解決し、自由な時間をどう使うかが人類の大きな課題になると述べた」のに対し、現在は、「人工知能(AI)やロボットによる代替が進み、世界の労働者の3割にあたる最大8億人の仕事が失われる」という予測も出てきており、「働かなくてもよくなるのか、働けなくなるのか。その捉え方は違えど、労働の未来は大きく二極化する。」というものである。
「時間や肉体ではなく知で勝負する時代」となり、「新しい時代に合った制度や人材教育にどうかじを切るか。新しい競争が始まった。」というのである。


この問題は、深刻さを増している。「2時間で200万円」稼ぐ人もいれば、どんなに働いても、ワーキング・プワーから抜け出せない人もいる。格差は拡大の一途を辿っていると思うが、本来、所得再分配によって、格差の是正を図るべき国が、グローバル競争の中で、競争力を持つ巨大企業の法人税の引き下げ競争を行うなど、機能不全とも言うべき状況に陥っているように見える。救いは、災害支援におけるボランティアの活動に見られるような無償奉仕活動の拡大だが、政策としてどのような対応するのか、重い課題が表面化している。

2020年1月1日水曜日

202011  日経朝刊3面 中西経団連会長 年頭インタビュー 「雇用制度全般の見直しを」

この記事は、経団連の中西宏明会長が年頭インタビューで、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが大事だ」と語った、というものである。
「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金が特徴の日本型雇用は効果を発揮した時期もあった」が、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが重要だ」とするものである。

指摘されていることは、大分前から課題となっているが、改革は進んでいない。「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金」を一言で総括すると、若者の能力発揮を抑制し、中高年齢層の利益を擁護するものと言えよう。だが、その仕組みの中で地位を上り詰めた中西会長の言葉で、改革が進むものなのかどうか、極めて疑わしい。
ダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」と言った。経団連のような高齢者団体が経済を牛耳っている間は、変化は加速しないのではないか。

202011日 日経朝刊2面(社説)次世代に持続可能な国を引き継ごう

この社説は、第1に「企業の変革」として、「年功賃金の見直しや多様な雇用形態の実現」を求めるものである。第2に、「国が責任をもって少子化対策や持続可能な社会保障への転換を推進」として、「高齢者も応能負担必要」とするものである。象徴としては、医療費の現役並み3割負担への引き上げを求めている。第3は、国に「エネルギー・環境政策を一体として立案し、工程表をつくること」を求めている。
そして、「政治の強いリーダーシップ」によって、「持続可能な国づくりの具体策を競う年にしてほしい」と結んでいる。

いずれも、現在の日本の社会構造を変革するものであるが、大きな障害がある。それは、産業界にしろ政界にしろ、長老支配がまかり通っていることである。いずれのリーダーも、世界全体と比べれば、既得権にまみれた高齢者である。ましてや、人口の半分を占め、次世代育成の中核となる女性リーダーの登用は、遅々として進んでいない。
「老人は過去に生き、若者は未来に生きる。」といい、伊庭貞剛は、「事業の進歩発達に最も害をするものは、青年の過失ではなくて、老人の跋扈(ばっこ)である」と喝破した。若者、特に女性に未来を委ねる度量なくして、「持続可能な国」にはならないのではないか。