2020年10月17日土曜日

2020年10月17日朝日朝刊14面(社説)社会保障改革 「本丸」から逃げるな

 「政府の全世代型社会保障検討会議が約4カ月ぶりに開かれた」ことに対する社説である。

「少子化対策にテーマを絞り、首相の肝いりの不妊治療への保険適用や男性の育休取得を促す方策などを話し合った」ことに対し、「若い世代向けの施策の充実を、社会保障改革の目玉にする考えなのだろう」としている。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/

これに対し、社説では、「国民が社会保障に抱く最大の不安は、少子高齢化で制度を維持できるのか、必要な給付は守られるのかだ。聞こえの良い話だけでなく、「痛み」の分かち合いも含め、将来不安に応える議論にするべきだ」としている。

そして、首相は「めざす社会像は自助、共助、公助、そして絆」と繰り返すばかりで、「共助や公助をどう見直すのか、どこまで自助を求めるのか、具体的な中身はいっこうに語らない」とし、「少子高齢化に本気で向き合うならば、目の前の問題と中長期の課題を分け、腰を据えて議論する必要がある」と結んでいる。

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社説の中で言及しているのは、消費税の引き上げ問題と、政府の「給付抑制策として75歳以上で一定以上の所得がある人の医療費負担を1割から2割に引き上げる案」であるが、必ずしも、それらを強力に推進すべきものとはしていない。

「それで少子高齢社会を乗り切れるわけではない」というのであるが、ならば、どのような方策が考えられるか、その方向性を示さないと、単なる批判に終わるのではないか。

現在、コロナ禍で、所得格差の問題が深刻化し、貧困への対策が重大な政策課題となっている。消費税問題で首相がすぐにトーンダウンしたのも、目の前の問題とは、あまりに隔絶した課題であるためであろう。中長期の課題を、目の前の問題に織り込むのは難しいが、それがチグハグだと、将来に禍根を残すことになる。国民一律に支給された定額給付金を、一時しのぎと考えるのではなく、将来に向けての国民の最低限の生活保障の一里塚とできるのかどうか、それが重要な論点だと思うのだが、どうか。

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