2020年3月15日日曜日

2020年3月15日 日経朝刊8面 ●新型コロナ、中国の新卒採用市場に打撃

「新型コロナウイルスの感染拡大の影響が中国の大学生の就職活動にも及んでいる。」との記事である。「求人企業による新卒採用イベントなどが中止になったほか、人の移動が制限されて面接会場に行けなかったり、春節(旧正月)休暇後に大学に戻れなかったりするなど、多くの学生が苦慮している。」という。
記事では、「2020年夏に卒業したら学習塾の講師として働くことになっていた。だが、内定をもらっていた塾の担当者から突然、「しばらく自宅で待機するように」との連絡があった。中国政府当局からの要請で当面、塾を閉鎖せざるを得なくなったためだ。授業再開のメドは立っておらず、途方に暮れている。」学生の例が紹介されている。
そして、「新型コロナの感染拡大は中国経済を直撃し、事業拡大をためらうだけでなく、新卒者採用を手控える企業も急増している。中国の求人サイト「BOSS直聘」が春節明け後の3週目に掲載した大学卒業予定者向けの求人件数は前年同期比44%減となった。運営会社によると、業種別では広告業界などは70%超の大幅減となり、減少幅が比較的小さい医療業界でさえも、前年同期を8.8%下回った。」とし、「中国では大卒者が右肩上がりに増えており、20年夏が終わるまでに最大で874万人規模の新卒者が労働市場に加わる見通しだ。だが、そのうち何人が就職できるかは不透明な状況だ。」という。
また、「これまでの努力がすべて水の泡になった」と嘆く大学生の例も紹介されており、「専攻はコンピューター工学で、卒業後は「中国のシリコンバレー」と呼ばれる広東省深圳市でキャリア人生を始めるつもりだった。就職希望の3社での面接日程もすでに決まっていた。」が、「公共交通機関などが停止となるなど人の移動が大きく制限され、面接会場に行くことができなかった。インターネットを使った面接を行う企業も増えている」が、「大学にすぐに戻れそうにないし、いつ卒業できるかわからない。こんな人を企業が雇うはずがない」と語っていると言う。
また、「新卒者ではなく、即戦力となる経験者の採用を優先する企業も目立つ。」とし、「斬新なアイデアを持つ若い人材は貴重な存在だが、新卒者を雇う余裕はない」という経営者のコメントがあり、採用者は「いずれも経験者で、新卒者は含まれていない」という例もあるとのことである。
最後に、「新卒者の就職を促そうと、政府当局は企業に採用活動期間の延長を要請したほか、軍や農村部の政府機関で新卒者採用数を増やす方針を明らかにした。深圳や北京などの都市部では人の移動制限が段階的に緩和され、平常時に戻る兆しが出てきた。だが、就活生への打撃はあまりにも大きい。」と結んでいる。

中国の就職事情は知らなかったが、こと新型コロナがらみとなると、中国で起きていることは、世界中に飛び火することになりそうである。現在、欧米各国で起きている大都市の封鎖やイタリアでの医療崩壊などがそうであるが、新卒者の就活も、その一つであろう。
就職予定先の企業から自宅待機を要請されて途方に暮れる、いつ卒業できるか分からない状態で就活を強いられる、経験者優先で新卒者は採用されない、といった記事の状況は、確実に日本にも訪れるであろう。「就活生への打撃はあまりにも大きい」わけで、身を引き締めて就活に臨む必要がある。もはや、昨年までの就活状況ではない。

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