2020年2月4日火曜日

2020年2月4日 朝日朝刊12面 (経済気象台)7年間は何だったのか

「日銀が2%の物価目標を掲げ、できるだけ早期に実現すると宣言したのが2013年1月。それから7年経ったが、今も実現するめどは立っていない。」という書き出しで、「異次元緩和という大胆な政策転換」を振り返り、「7年間のアベノミクスは結局何だったのか。」と問いかける論説である。

黒田日銀総裁が「異次元緩和」に踏み切った時、首を傾げる経済学者やエコノミストが多かった。それまでの正統的な白川前総裁の方針とは大きく違っていたからである。ところが、その円安誘導・低金利政策で企業活動が活発化し、経済が回復してくると、一転して「アベノミクス」をもてはやす論調になった。言わば、「白を黒が言いくるめる」状況になったのである。
政権を奪取したものの、東日本大震災・原発事故の対応にもたつき、経済界や官僚との関係もしっくりしていなかった旧民主党政権は、経済不振の状況の中で、国民の失望を招いていたから、なおさらに「アベノミクス」景気が歓迎されたのであろう。そのことが、このところ驕りや不正が露わになった安倍政権を長期化させた最大の原因と言えよう。それは、あたかもカルロス・ゴーンの栄光と凋落を思わせるもので、「驕る平家は久しからず」、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」のである。
そして今、「アベノミクス」の弊害が、誰の目にも明らかになってきている。マイナスにまで落ち込んだ超低金利政策は、資金調達側の国や企業は大いに潤わせたが、資金供給側の家計は疲弊し、国民生活の不安は高まる一方である。安倍首相が民主党時代に比べて経済は良くなったとしているが、日本の競争力は世界30位で、1997年以降で最低にまで落ち込んでいる。
 https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20190806.html
一方、円安政策は、日本企業の輸出競争力は高めたが、相対的に日本を安売りする結果となった。インバウンド効果への期待も、相対的に日本が割安になっていることによるであろう。
もちろん、状況は変化するので、物事の比較は簡単ではない。リーマンショックを受けた就職氷河期と、好況による人手不足で就職状況が改善した現況とを比較すれば、若年層の安倍政権支持率が高いのも分からないではない。また、少子高齢化の急速な進展というr重い課題に対しては、どんな政権でも、有効な対策を打つことは難しいだろう。
それでも、腐敗して弊害の方が目立つようになった政権を放置していたのでは、日本の未来は拓かれまい。若い世代の新しい風が、今こそ必要とされているのではないか。

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