2020年2月2日日曜日


2020年2月2日 日経朝刊2面 投信、定率分配型が拡大 資産の目減り抑制 毎月分配型の代替

「資産を投資信託で運用しながら、まとまった現金を定期的に受け取れる仕組みが多様化してきた。」との記事である。「代表的な商品の「毎月分配型」は過度な分配金が目立ち、金融庁に資産形成に向かないと指摘された。批判に対応し、運用損などで資産が減れば分配金を自動的に抑える「定率分配型」が増えている。」とのことである。
「定率分配型では、投信の1万口当たりの時価に相当する基準価格に対して一定の割合で分配する。分配率を3%とすると、基準価格が1万円なら分配金は300円だが、運用損が発生して8000円になると分配金は240円に減り、目減りを抑えられる。運用を重視して資産を増やしながら、現金が欲しいニーズにも応える設計にしている。」という。
「定率分配型では販売対象を高齢者に絞っており、販売用資料にも「人生100年」「シニア投資」といった言葉が並ぶ。」ともしている。そして、「証券会社や運用会社も、顧客が定期的に資産を現金化できるサービスを取り入れ始めた。」とのことである。
さて、このような「定率分配型」を、どのように考えればよいのであろう。まず、この記事の全体のトーンからして、これは、「毎月分配型」になるのではないか。従来の「毎月分配型」との違いは、従来は分配額が「定額」であったのに対し、これは「定率」という違いに過ぎない。
なるほど、利益が出ていなくても「定額」の分配をする投信に比べれば、資産額が減少すれば分配額が減る「定率」の方が、投資元本を毀損するリスクは減る。しかし、それは程度の問題に過ぎない。
個別の株式の場合には、投信の分配にあたる配当は制限されており、蓄積された利益の範囲内でしか配当は行えない。ところが、投信においては、追加型株式投資信託の運用の収益に基づいた分配金である「普通分配金」の他に、「特別分配金」があるが、それは金融庁のホームページの用語集では、「元本払戻金と同義」とされている。
こうした「特別分配金」が許される理由は、よく分からない。投資家が投資資金を回収せざるを得ない場合が考えられるが、それは投信の一部解約で対応できるのではないか。
記事では、「毎月分配型は分配金を抑えて長期に運用すべき若年層などにも販売されていた。元本を取り崩していると認識していない投資家もいた。」としている。論外の話であり、まるで投資詐欺のようなものである。「高齢者に絞って」いるというが、今後はどうなるかは分からないし、これからの投資可能期間が少なく、次第に認知症リスクの高まる高齢者が、果たして、この「定率分配型」の仕組みの本質を、どこまで理解して投資するのだろうか。国民に染み付いた「投資は怖い」という感覚は、これまで投資業界が示してきた体質の必然的な帰結ではないのか。



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